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書籍「現場のプロが教えるWebデザイン&レイアウトの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール3」のお手伝いをさせていただきました&10月6日イベントやります!

2014.10.02 Book

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いやはやなんと長いタイトルでしょうか。カヤックの佐藤ねじさんから突如お誘いを受けまして、「現場のプロが教えるWebデザイン&レイアウトの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール3」という書籍のお手伝いをさせていただきました。本のコンセプトとしては "今必要なWebの知識" ということで「レイアウト&配色」「UX&UI」「グラフィック&タイポグラフィ」「エフェクト&リッチメディア」の4章立て。そうそうたる顔ぶれのプロの皆様の中に混じって、私は第1章の「レイアウト&配色」担当させていただきました。「えっ、お前がその章書くの!?!?!?!」という感じですが、現在のWeb制作を取り巻く環境の基礎的な部分を重点的に書かせていただきました。しっかり勉強している方には若干物足りないかもしれませんが "ここは気をつけないと危ないぞ" という注意喚起を意識して書いたつもりです。要は「モバイルファーストって言うけど結局どうしていけばいいの?」という話をトピックごとに分割していった感じだと思っていただければと。ぜひ復習用資料としてご活用ください。

もちろん2章以降もWeb制作の現在がぎっしり詰まっています。マテリアルデザイン、プロトタイピング、ゲームニクス理論、マイクロインタラクション、グラフィックのトレンド、Webフォント、動画、GIFアニメ、WebGL…書ききれないですが、こういった内容をすべてを理解している人はなかなか稀だと思います。だからこそ今のWebには何があって、何ができるのかを再確認してほしいと思っています。トレンドに自信がある方も、こっそり読んで(えっ、今ならこんなことできたんや…)とこっそり知識を増やしていただけると思います。

ちなみにAmazonではKindle版も販売中。iPadやAndroidタブレットでどうぞ。

そして10月6日(月)20:00より下北沢B&Bにて書籍発売記念イベントを実施します! "ビールの飲める本屋" ことB&Bですのでビールを飲みながらWebについて語らえると思ってるんですがどうなるんでしょうか。ビール券付きチケットを販売中ですのでこちらもお早めに。

(なぜか)Fi-VJがDTMマガジンで紹介されました!

2011.06.15 Book

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Twitterで報告を受けて知ったのですが、なんと私制作のHTML5 VJ App「Fi-VJ」DTMマガジンで紹介されました!ご存知の通りDTMマガジンはPCで音楽を作る人のための情報雑誌。でそこでなんでFi-VJが紹介されるのか「何を言ってるのかわからねーと思うが(ry」と言いたくもなりますが、新しい音楽制作スタイルの特集ということで「HTML5で音楽アプリが作れる?」というコーナーが組まれております(p.54)。で、そこで小さくFi-VJが紹介されているんですが、なぜ音楽アプリでもなんでもないFi-VJが掲載されているのかは謎。編集者の方からも特に連絡はなかったし。

しかし音楽制作を夢見るものであれば一度は必ず目を通すと言われるあのDTMマガジンに私の作ったものが紹介される日が来るとは夢にも思いませんでした。このような機会を与えてくださったDTMマガジン編集者の皆様本当にありがとうございました!! 店頭でDTMマガジンを見かけたらぜひ手に取って読んでみてください。KORG monotribeの特集楽しかったです。

HTML5 VJ App「Fi-VJ」についてはこちら

アイデアこそ至高。「横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力」

2010.07.16 Book

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「小さい頃は 神様がいて 不思議に夢を かなえてくれた」

確かに神様はいたのだ。1997年までは。

横井軍平という人がいた。任天堂で商品開発に携わり、ウルトラハンドやラブテスター、光線中SP、そして現在の任天堂の礎を築いたゲーム&ウォッチ、ファミリーコンピューター、ゲームウォッチ…数々の任天堂プロダクトを開発した人物である。彼こそが「慎ましやかな花札メーカーを、数十億ドルが溢れる帝国に変えた」人物の一人であり、他界した後も「ゲームの神様」として尊敬される最高の "クリエイター" だ。「横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力」は既に絶版になっていた「横井軍平ゲーム館」を加筆修正を加えたもの。旧版は幻の名著と呼ばれなんとAmazonでは8万円のプレミアがついていた代物だ。本書の内容は横井氏がこれまで作り上げてきた任天堂プロダクトの開発秘話から成る。「ただおもちゃを作る話のどこが面白いのか」と思うかもしれない。しかしこれが抜群に面白い。彼の着眼点、発想力、思い切りの良さ、まじめさ、いい加減さ…どれをとっても一歩抜きん出ている。彼の有名な哲学「枯れた技術の水平思考」は最先端の技術を使うのではなく、使い古されたコストの安い技術とアイデアを組み合わせることで優れた製品を生み出そうという発想である。映画インセプションじゃないがこれはつまり「アイデアこそ至高」という考えである。アイデアこそが我々人類に残された最後のフロンティアであり、最高のエンターテイメントなのだ。

数々のヒット商品を生み出した横井氏。しかしゲームが好きな人なら知っている通り、彼が任天堂時代の最後期に手がけた「バーチャルボーイ」は任天堂史上最大の失敗として多くの人に記憶されている。バーチャルボーイは1995年に発表された世界初の3D(立体視)家庭用ゲーム機である。彼はバーチャルボーイ、続くゲームボーイポケットを開発した後、任天堂を退職。そして1997年、56歳という若さでこの世を去った。「3D」というアイデアはゲームの神様が任天堂に置いていった宿題だったのだろうか。バーチャルボーイ発売から15年の歳月を経て任天堂は再び3Dに取り組むことになる。

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Nintendo 3DSが成功するかどうかはわからない。バーチャルボーイのように「失敗作」として人々に記憶されることになるかもしれない。3DSが成功するかどうか…それを決めるのは一つの要素しかない。アイデアだ。

…しかし1995年の当時、横井氏はなぜ「3D」という発想に至ったのだろうか。もちろんただの物珍しさだけで3Dを選択したわけではない。ちゃんと理由があるわけだけど、その答えはぜひ本書を読んで確かめてみてほしい。実はDSやWiiといった現在の任天堂につながる「思想」がそこには含まれている。人は限りある存在だが、考えやアイデアは時間をも飛び越えることができる。

Yahoo!JAPANのアクセスを支えるのはクリックしたくなる13文字の言葉。「ヤフー・トピックスの作り方」

2010.05.06 Book

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2年前くらいになるか、@takesiに「FICCに入りたいっていう人がいたら何を基準にするか?」と聞かれて私は「Googleのすごさじゃなくて、Yahoo!のすごさが答えられる人がいい」と答えた記憶がある。実は同じ大学だった阿部君に「以前にフクオカさんがYahoo!のことを話してもらって」と言われたこともあるので私は同じネタを延々6、7年は使い回していることになるらしい。

いや何も私はGoogleよりYahoo!JAPANがすごいんだと言っているわけじゃないんです。Googleの検索を使わない日はない、ロケーションの確認は必ずGoogleマップ、Gmailが自分の標準メールアカウント…Googleがなければ現在の生活はないし、そのイノベーションは留まるところを知らない。Googleのすごさは「機械力」と言えましょう。

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では私が思うYahoo!JAPANのすごさは何か?一言で表すなら「人間力」。そしてその人間力が最も活かされ、且つYahoo!JAPANの大きなアクセス源である、13文字×8行のニュース領域「ヤフー・トピックス」。ということで前置きが長くなりましたが、このヤフー・トピックスの編集者で元読売新聞記者でもあった奥村倫弘氏による「ヤフー・トピックスの作り方」を読了。どんなにGoogleニュースが精度も情報量も凄くても、ヤフー・トピックスには敵わない。13文字×8行の洗練されたタイトルの魅力、ネタの即時性と安心感、ヤフー・トピックスの「クリックしたくなる度」はとても高い。最近ではmixiニュースのような他のサイトにもこのトピックスの要素が散見されるが、その元祖とも言うべきヤフー・トピックスが作成される舞台裏、13文字でまとめるコツ、そしてWeb時代のニュースのあり方を奥村氏の視点からまとめた一冊になっている。先に言っておきますが、決して「ヤフトピに紹介される方法」や「ヤフトピみたいなタイトルが書けるようになる方法」が書かれているわけではなく、How to本というより純粋な読み物になっていると思ったほうがいいでしょう。しかしYahoo!Japanが培ってきた「人間力」を垣間みるにはぴったりな一冊。

確かにWebの世界は技術が大きく関係している世界ですから、Web畑にどっぷりと浸かっている人ほどテクノロジーを重視する傾向が強い。確かにロボットはすごい、でも僕らはロボットじゃないんです。SEOも大切ですが、人の目を惹くタイトルもまたWebサイトにとって重要なのです。だってたくさんのリンクの中からどれをクリックするかは僕らが決めることなんですから。Twitterだって同じ。たくさんのつぶやきの中で目にとまるのはその文章が、読む人の目に留まったからです。Googleのようなサーバーがなくても、美しいFlashがなくても、高度なマークアップがなくても、人が考え紡ぎだす言葉には人を惹き付ける力が十分にある。これが人間の力です。

今アメリカではGoogleとFacebookの戦いが始まっています。これもまさに「機械力」VS「人間力」の戦いと言えるでしょう。日本でのYahoo!の検索シェアが未だにGoogleに勝っているのは、Yahoo!BBの他にもトピックスを中心としたコンテンツの影響が大きいと思います。

そして最後に最も大切なのはその人間力を人間のために、つまりユーザーの為に使わなければならないということです。本書にもまとめられている通り、いわゆる「釣り記事」のようにアクセス数だけを稼ぐために使ってはいけない。記事の質は低下し、ユーザーの時間を無駄に割くばかりか、ユーザーからの信頼すらも失いかねない行為です。数字が大切なのもわかります、が一番大切なのは一人一人のユーザーの満足。やっぱりうちら、人間ですから。

PLUTO 8巻 - 遂に完結。アトムよ、父を超えろ。

2009.07.17 Book

PLUTO 8巻 - 完結。アトムよ、父を超えろ。

アトムは憎しみと報復の世界といかに闘うのか

遂にPLUTO、完結。アトムとプルートゥ、雌雄を決する。時を同じくしてアブーラ博士によって地球を破壊するほどの「テロ」が行われようとしていた。

ロボットとは即ち少年である、と思い始めたのは数年前からだ。言うまでもなくロボットは純粋である。人間か書いたプログラム通りにしか動かない。人工知能、といっても所詮人工物だ。だからロボットにたとえ考える力があったとしてもそれは人間がプログラムした範囲でしかない。だから彼らには「心」がない。心がないから心を理解する事もできない。つまり彼らは "幼い" のだ。高い計算能力を持ったロボットでも、如何に人の役に立つロボットでも、大量破壊兵器であろうと、総じて幼いのである。

PLUTOの世界では世界最高の人工頭脳を持つとするアトムが唯一「心」を持っているという。心とはなんなのか、非常に説明が難しいところであるが、アトム、プルートゥや他の多くのロボットが「感情」をもっている。喜び、怒り、悲しみ…人間が持っているものと変わらない感情だ。感情とは面白いもので、伝播する能力を持っている。ネット上ではバイラルCMが流行ったり、ブログが炎上したりと、感情の伝播を見かける事が多い。世界中の優れたロボットを破壊し続けたプルートゥを動かしていたのも怒りの感情だった。しかしその怒りの感情も自らの中から生まれたものではない。生みの親であるアブーラ博士に植え付けられたものだ。伝染した怒りに任せて彼はロボット殺しを続けてきた。空虚だ、そんな事はわかってる、でも止められない。プルートゥと最後の決戦を挑むアトムもまた、ロボット刑事ゲジヒトの怒りの感情を移植されて復活した。怒り、憎しみの感情はウィルスのように互いに感染し、傷つけ合う。そしてまた新たな感染者が現れて…。現実の世界でも憎しみあうもの同士が戦争をし、テロを起こし、また憎しみが蔓延していく。ロボットもまた、同じ事を繰り返すのか。

しかしアトムには心がある。心とは一体なんなのか。それは相手を思いやる想像力かもしれないし、すべてを包み許す力なのかもしれない。だから心は「温かい」。もはや戦争から始まった憎しみの連鎖を受け止められるのはアトムの心しかない。その心を持って自分の怒りや憎しみが、本当に自分の中から出てきたものなのか、感情の向こうに正しい未来が待っているのか、考えていかなければならない。感情の代わりに心を伝播させることが人類最後の希望なのだ。

漫画の子どもたちから、漫画の神様へ

手塚先生がこの原作「地上最大のロボット」を描いた頃の戦争は一個のボタンを押すだけで核戦争が起こり、敵も味方も無に帰ってしまう「一瞬で終わる」戦争だった(ウォッチメンで描かれていたように)。だから手塚先生は単なる力自慢やそれによって無に帰った光景が如何に虚しいものかを描いた。そして時は流れ冷戦が終わった。そして訪れたのは報復に次ぐ報復、憎しみが憎しみを呼ぶ「終わらない」戦争だった。PLUTOもテロと報復の時代に合わせてテーマを再設定してある。また、手塚先生は誰もが知る「漫画の神様」であるが、弱点がないわけではない。「地上最大のロボット」でもすべてが終わっても何も変わらない、いずれ繰り返される、というニュアンスを含ませている通り、必ず「悲観」や「諦観」が含まれるのが手塚漫画の "クセ" だと思う。

しかし浦沢氏はそこに着地しない。PLUTOは予想された限界を乗り越え、進む物語だ。小さな生き物を前にしてアトムが自らの感情を制御するシーンはどうしても目頭が熱くなる、全体を見ても屈指のシーン。また、天馬博士とお茶の水博士、つまりアトムの生みの親と育ての親が対峙するシーンはさらに決定的だ。アトムといえど、もう手遅れだ、地球を救うなど不可能だと断じる天馬博士に対して、お茶の水博士はどうせ死ぬなら最後までやってみなければわからない。生みの親なのになぜアトムを信じないのか、と説く。このシーンはどうしてもアトムの生みの親=手塚先生に向けた言葉のような気がしてならない。そしてアトム自身もまた父親の想像を超え、自分の感情を制御し、世界を救うために飛び立つ。プルートゥも怪物と化した父親と最後の戦いへ向かう。PLUTOの世界のロボットたちは少しずつ幼さから開放されていく。少年から大人への第一歩を歩んでいく。

そして物語も原作とは少し違う結末を迎えることになるのだが…。それは実際に読んで確認していただきたい。原作にはない「最後の数ページ」は浦沢氏から天国の手塚先生への最後のメッセージであり、意思表示であり、挑戦状だ。天国で手塚先生が「まったく生意気な奴だ。俺ならもっといい作品が描けるんだ!!」と息巻いていたら願ったり叶ったりであろう。原作の完成度はとてつもないが、PLUTOはそれを超えんとする高い志と勇気とやさしさの物語である。天国の神様への挑戦権に十二分に値する作品に間違いない。


関連リンク:
WWW.AKIRAFUKUOKA.COM BLOG | PLUTO 4巻 - アトム、その父。
WWW.AKIRAFUKUOKA.COM BLOG | ロボットの感情が人間に限りなく近づくとき。「PLUTO 6巻」
WWW.AKIRAFUKUOKA.COM BLOG | PLUTO 7巻 - 浦沢直樹は手塚治虫よりもすこし、優しい。

さようならとありがとう。伊藤計劃さん。

2009.03.23 Book

このサイトで伊藤計劃さんがお亡くなりになられたことを知りました。ずっと伊藤さんのブログのファンで、ブログになる前のサイトからもずっと追っかけていました。一度もお会いしたことはないのですが(今となってはそれが残念でなりません)、私にとって伊藤さんは「預言者」のような存在でありました。言葉を預かる。伊藤さんの映画評は、作り手の思い、背景、手法、様々な角度から拾い上げた言葉を読んでいる我々に届けてくれる、すばらしいものでした。映画への、作品への愛情が滲み出る文章をよく読み返したものです。

個人的に思い出すのは何といっても小島監督の作品への造詣の深さ。私が書いたMGS2にまつわるエントリーも伊藤さんの文章を読んでいなければまず書けませんでした。小島監督の大ファンと公言していた伊藤さんにとってMGS4のノベライズを手がけることになったのはそれはもう嬉しかったのではないでしょうか。初の長編小説「虐殺器官」が高い評価を得、第三弾「ハーモニー」が発売され、作家・伊藤計劃が評価され始めてから、そう時間は経っていないのに…。

伊藤さんの目から見た世界の話をもっと聞きたかった、というのは贅沢だったのかもしれません。長い闘病生活の最中、あれだけの文章や作品を届けてくださったのですから。私は伊藤さんのお話から、たくさんのことを知りました。本当にありがとうございました。

きっと、シネコンもAmazonもありますよね。

PLUTO 7巻 - 浦沢直樹は手塚治虫よりもすこし、優しい。

2009.02.22 Book

PLUTO 7巻 - 浦沢直樹は手塚治虫よりもすこし、優しい。

Amazon.co.jp: PLUTO 豪華版 7 (ビッグコミックススペシャル): 浦沢 直樹

最強のロボットであるはずのエプシロンがプルートゥに敗北する第7巻。

原作である手塚治虫の鉄腕アトム「地上最大のロボット」は紛うことなき傑作であり、多くのファン(浦沢氏含む)がその内容を知ってる。大きなストーリーの変更は間違いなくアウト。しかしただ忠実を作ろうとしても、間違いなくそれを下回るものができるだけだ。そこで浦沢氏は得意のミステリー調で物語を動かすことにした。主役はアトムではなく、ロボット刑事ゲジヒト。刑事の視点から、世界を代表する7体のロボットが次々に破壊されていく謎の事件を追う。事件の過程の中で原作ではほとんどスポットが当たらなかった7体のロボット達のストーリーを丁寧に織り込みつつ、事件の謎を解き明かしながらストーリーが進む。これぞまさに浦沢氏得意の戦法であり、オリジナルにはないロボットと人との物語が見事に構築されていった。

しかし単行本第6巻でゲジヒトが死んでしまう。もちろんこれも原作通りではあるが、物語を牽引する浦沢氏の武器が封印されてしまう。ここからは原作と、生身で対峙しなければならない。折しも第7巻は原作では最大の見せ場の一つである光子ロボット・エプシロンとプルートゥの戦いが描かれる。本来エプシロンはプルートゥが及ばないほど強いロボットである。だが最終的には小さなほころびからエプシロンは敗北してしまう。原作を読んだ人はもちろん知っているし、読んでいない人も予想はつくだろうが、エプシロンは死ぬ。いかにして死を迎えることになるのか、それを描くのが第7巻の大きなミッションである。

しかし本当に細かい描写がうまい。孤児院の子どもたちが開いたエプシロンのサプライズ誕生日パーティーは、エプシロンが「知らなかったフリ」をしつつも、子どもたちとの別れを惜しむシーン。エプシロンの細かい仕草や敢えて大きく付けた表情が見事。ところどころにエプシロンの死を予感させるシーンを混ぜつつ、物語はエプシロン最期の瞬間を迎える。子どもを守ろうとした瞬間、生まれた隙をプルートゥは見逃さなかった。原作でも有名な「エプシロンの手」はPLUTOの中でも意外な形で使われる。手塚治虫が描いたエプシロンの最期は残酷な悲劇だった。しかし浦沢氏が描くそれは少し違うように見える。忠実な悲劇ではあるが、何かまだそこに温かさがあるような。浦沢氏が手塚治虫ほど残酷になれないところに、また別の魅力が生まれているのかもしれない。


つかね、長々文章書いてますけどね、読んでて泣けてきてぜんぜんページが進まなかったよ。


そして次の第8巻でPLUTOは完結。遂に真打ち、アトムとプルートゥの決戦。浦沢マンガ名物の伏線は果たして本当に回収されるのか?w そして、絶対に越えられない壁である原作にPLUTOはどこまで食いついていけるのか。原作では消費されて「強さの競争の無意味さ」を示すことが存在意義であったボラー、しかしPLUTOでは正体がまだハッキリしない。これが浦沢氏の最後の切り札になるのか…。とにかく6月の発売を楽しみに待ちましょう。

【初連載】月刊誌「web creators」にて海外の優れたWebデザインを紹介する連載がスタート!!

2008.12.03 Book

【初連載】月刊誌「web creators」にて海外の優れたWebデザインを紹介する連載がスタート!!

Womanもそうですが最近告知が多いのは年の瀬だからか何なのか。あのMdNコーポレーションから発刊中のWebクリエイション情報誌「web creators」にて私AKIRAFUKUOKAの連載がスタートしました!! しかも人生初連載。

MdN Interactive - web creators最新号 - 2009年1月号

担当するコーナーは「ワールドワイドWEBサイトギャラリー」。視点を国外に向け、ハイクオリティーなWebサイトを毎月3つ、スクリーンショットたっぷりで紹介していくコーナー。見開きで2ページ、メインの特集の後すぐに巨大なスクリーンショットが現れるのでかなり目につきやすいかと思います。やはりこのWWWサイトギャラリーの特徴は豊富なスクリーンショットですが、長くない文章で少しでも紹介しているサイトの気付かれにくい魅力を引き出せたらと思っています。主にWebデザインを紹介するページですが、「○○がきれい」とか「Flashの動きが△△」という見方は既に様々な方がやられていると思いますし、そう言った繊細な事柄に関しては私よりもよっぽど理解の深い方がたくさんいらっしゃるでしょう。ですから、デザインのそのさらに向こう側にある「制作者の意図」や「コンテンツとしての狙い」といったものをこのコーナーの中で突き詰めていけたらいいかなと。

ちなみに今回だけ?(もしかしたらまたあるのかもしれませんが)MdNのWebサイトでこのコーナーの抜粋版が公開されています。ここではスクリーンショットが抜けていたりとちょっと見え方が変わっていますので、ぜひ本屋さんで実物のweb creatorsを手に取って読んでください。このコーナーとは関係ありませんが、特集の「注目クリエーターに聞く"アイデアのつくり方"」というコーナーでは見開きでtwistcubeの川村さんのインタビューが紹介されています。要チェックです。

ご存知の通りAnotherBookmarkもたくさんの海外サイトを紹介しています。最近では海外のサイトを紹介するブログも増えました。ですからなおさら、読んで面白いものを作らなければいけません。「連載云々もまずは文章力を鍛えてだな…」と言われてしまいそうですが、もちろん文章力も鍛えつつ、読んでいただいた人のクリエイティブに少しでもプラスになれるよう、尽力してまいりますので今後も宜しくお願いいたします!!

ロボットの感情が人間に限りなく近づくとき。「PLUTO 6巻」

2008.07.29 Book

ロボットの感情が人間に限りなく近づくとき。「PLUTO 6巻」

Amazon.co.jp: PLUTO 6―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (6)

表紙は何故かお茶の水博士。奥に光る2つの眼はプルートゥか。
一応以降の文章はネタバレ注意。

待ちに待ったPLUTO 6巻。今まで物語を牽引してきたゲジヒトの最後を綴る。遂に明らかになるプルートゥの正体、そして事件を操ってきたアブラー博士が遂に本性を見せる。一枚の画像からプルートゥの居場所を突き止め、遂に追いつめることに成功するゲジヒト。しかしロボットとの無意味な戦いに疲弊した彼はとどめを刺さず、自ら辞職を申し立てる。ゲジヒトの戦いは終わった。しかし、プルートゥの復讐は終わらない。7体のロボットを全て倒すまでは。プルートゥがゲジヒトに仕掛ける最後の戦いとは…?

ちなみにこの巻の前の話を忘れている人はぜひ5巻を読み直したほうがいいです。覚えているつもりでも必ず読んでおくべき。5巻の冒頭から6巻の最後までは人つながりの話だと思ったほうが良さそう。

原作を知っている人はわかると思うんだけど、原作では「プルートゥがアトム以外の6体のロボットを倒す」ことになっている。もちろんこれに準拠するのが最低限のルールだろう。なのに6巻の結末は一見プルートゥが直接ゲジヒトを倒していないように見える(私も最初あれ、おかしいなと思った)。が、ティディベアの告げ口、一度はゲジヒトに効かなかった”攻撃”、おじいさんが見た運河…という各コマの描写を見ているとちゃんとプルートゥが手をくだしたことになる。最強のロボットはやはり腕力だけでは決まらないということかね。

プルートゥにも勝る能力を持ったゲジヒトを敗北に追い込んだのは、記憶。それも子どもの記憶。ゲジヒトはプルートゥに向かって「おまえの父さんはお前を愛してなんかいない」と寂しげにつぶやく。しかしこの台詞が当てはまるのはプルートゥだけじゃない。アトムもまた父親に愛されなかったロボット。アブラー博士とプルートゥ、天馬博士とアトムの対比が「MONSTER」となったアトム復活以降の軸になっていくのか。

そして6巻には次巻への伏線ともいえるエプシロンのシーンが。アブラー博士に「天候が悪い日は力が出せない」ことを指摘されるエプシロン。おそらく次巻ではエプシロンとプルートゥとの対決、エプシロンの敗北が描かれることでしょう。原作「地上最大のロボット」では最大の盛り上がりを見せるエプシロンとプルートゥの話。最も手塚治虫らしいく表現されたロボットの心の葛藤を、浦沢氏によっていかに再現されるか…期待と不安でいっぱいです。

ちなみにエプシロンの話を知らない人はぜひ笑芸人 Vol.16を買ってみてはいかがでしょう。付録CDに収録されている立川談志による朗読「鉄腕アトム」。「地上最大のロボット」のプルートゥとアトムの出会いのシーン、そしてプルートゥとエプシロンの対決のシーンが朗読されています。手塚治虫を天才とあがめる立川談志の渾身の朗読。落語に興味がない人でもぜひ聴いてほしいところ。

もしくは素直に原作が収録されている鉄腕アトム (13)を読むか。先に断っておきますが原作を読んでもPLUTOがつまらなくなることはありませんので。

とりあえずゲジヒトの奥さんが「泣く」ところを読んだときもうぽろぽろ泣いてしまった。ロボットと感情。ロボットは感情を持たないはず、だけど人間のまねごとがいつか、本物の感情に限りなく近づくのだろう。シンプルな骨格にロボットの悲哀を乗せ、エンターテイメントにまとめあげた手塚治虫のアトムに、PLUTOは近づくのか、はたまた越えるのか。

スティーブ・ジョブズとは何者なのか。

2007.02.19 Book

iPhoneを生んだ偉大なるクリエイティブディレクター Steve Jobs

彼を外側から見れば天使、内側から見れば悪魔。

MACPOWER WEB

本のネタが続きますがMAC POWER 3月号の特集は『iPhoneを生んだ偉大なるクリエイティブディレクター Steve Jobs』。スティーブ・ジョブズ、いわずと知れたAppleのCEO。彼とAppleのこれまでの歴史を大筋で綴った特集。とはいえ全てが正確かどうかはちょっと疑う必要はあるかもだけど。この記事の中でのジョブズは賞賛されつつも、(クレイジー方面で)普通ではない人物、として記述されている。一つは製品に対する異常なまでのこだわりであり、一つはそのプレゼンテーション能力であり、そしてその大胆な発想であり。ジョブズ永遠のライバルにして盟友、そして世界の大富豪ことビル・ゲイツも過去に

「これまでヒット商品を一つでも生み出したらそれは素晴らしい会社といえる。しかしAppleはMacintosh、iMac、iPodと3つもヒットを生み出している。こんな会社はそうあるものではない」

と語っている。もちろん私個人としても彼の言動、行動が全て正しいと思わないし、全てを鵜呑みにしようとは思わない(何より最近ではバックデート事件があったばかりだし)。若い頃のジョブズはとんでもないヤツだった、というのは有名な話で、映画「パイレーツ・オブ・シリコンバレー(邦題:バトル・オブ・シリコンバレー)」では若き日のジョブズ、そしてゲイツの破天荒な生き様が描かれている。また、MAC POWERの記事には元アップル会長、ジョン・スカリーのこの言葉が引用されている。

「スティーブは刺激的以外の何者でもなかった。傲慢で、無礼で、激しくて、注文が多い。完璧主義者だった。—未熟で、もろくて、感じやすくて、傷つきやすい一面もあった。精力的で、洞察力があって、カリスマ的だったが、たいていは強情で、頑固で、まったく信じられない男だった」
(ジョン・スカリー)

いつも周囲は振り回されっぱなし。ただ、それでも彼が「うまい」ことは認めざるを得ないところ。要するにあれだ、ジョブズは子どもなのだ。みんなをビックリさせたい、楽しませたい。そのために取る手段は選ばない、高いところから飛び降りるような無茶だって平気でする、と。さらに記事の最後にはジョブズが毎朝鏡に向かって自分に語りかける言葉が登場する。

「今日が人生最後の日だとしたら、今日これからやることは本当にやりたいことだろうか?」

その言葉に対して、

「もし、何日もの間、『No』が続いたときは、何かを変えなければならない」

と続けている。これまでの30年を駆け抜けてきた輝かしいヒットメーカーは常にこう自問している。……で、この質問、私はどうなのかと?それは言わずもがな、ですよね。

T-SHIRT FACTORY : BEAMS T

2007.02.16 Book

T-SHIRT FACTORY : BEAMS T

Amazon.co.jp: T-Shirt Factory

これからの季節のTシャツ作りの参考に購入。内容はBEAMS Tが設立されてから約5年間に発売されたデザインの中から350点以上を収録。読んでると「そうそう、あったあった!!」という気持ちに。ベジェとアナログがまだ分断されていた時代、のような気がする。かりっとしたベジェが大好きなんですけど、最近はさらにひとひねり、ということが多いような。でもこうやって一気に見るとやはり楽しい(むしろもっと見たかったかも)。ちなみにおまけでCD-ROMがついていて、10人のアーティストの作りおろしデザインが入っている。気に入ったら自分でTシャツにプリントしてくださいね、というDIY世代への粋な計らいなのである。

しかしまー今年の自分Tシャツはどうしたものか。今年の個人的な目標は「動物、テクスチャー、そしてロイヤル」。去年はパスパスしてましたが今年はデコデコ。ちょっと自分の中で新しい方向を探れたらいいなと。あとこの本読んでて思ったのはガイコツいいね。factioではブックカバーとかトートバックも作れるようになったらしいので早いうちに作っちゃいたい(そして少し売れると嬉しい)。

ちなみにフクオカアキラ制作のTシャツはこちらからお買い求めください。

AkiraFukuoka - factio クリエイターXドロップシッピング

TITLe [特別編] Windows Vistaは人生を変える!?

2007.02.10 Book

TITLe Windows Vista特集

Title3月SPECIAL ISSUE Windows Vista(TM)は人生を変える!? Life with a View

あらっ、なんだかフクオカアキラらしからぬチョイスですよこれは…。永遠のApple Loverにして今なおPowerBookG4使用中の私ですが、たまにはWindowsの肩を持ったっていいじゃないですか。なんてったってWindowsはOSとして世界の9割のシェアを持っているわけですから、Windowsが良くなれば世界の9割のユーザーが幸せになるわけでしょ。これってすごいことじゃない?…って前フリはここらへんにして、このWindows Vistaを特集した別冊TITLeにFICCが取材された内容が掲載されております。

TITLe Windows Vista特集

写真はFICC社内。このページから特集スタート。Windows Vistaを使用した感想、web制作についてインタビュー形式で掲載されております。フクオカアキラも出てます。このムックの中で赤シャツの男として登場(てか赤シャツ着てるフクオカ自体かなりレア)。Windows Vistaについて率直な感想を述べさせていただきました。詳しくは紙面でご覧くださいませ。でもこうやって雑誌に出れるって嬉しいですね。ようやく親に自分の職業が説明できる気がします。いつか結婚する際も相手のご両親にはこのTITLeを見せれば良さそうです。というわけでWindows Vistaが気になる方、FICCのオフィスの様子が気になる方、フクオカがどんな姿で写っているか気になる方はこのTITLeを書店でお買い求めください。

それじゃ最後の挨拶。Hasta la vista, Vista!!

関連リンク:
TITLe
Microsoft Windows Vista
古川 享 ブログ

PLUTO 4巻 - アトム、その父。

2007.01.23 Book

PLUTO 4巻。表紙は天馬博士。

Amazon.co.jp: PLUTO 4—鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (4)

遂に天馬博士登場。

手塚治虫原作・鉄腕アトム「地上最大のロボット」。日本の漫画史、エンターテイメント史に燦然と輝く傑作を浦沢直樹氏がリメイク。いや、リメイクと言う言葉も何だか合わない気が。表紙に「手塚治虫」と「浦沢直樹」の文字が同サイズで配置されているのもそういう意味を含んでいるのかも。物語も中盤に差し掛かったか、遂に最大のキーマンと思われる天馬博士が登場。浦沢氏、そして天馬博士といえばフクオカ家でも大ヒットした「MONSTER」のDr.テンマを思い出すところ。なのでキャラクターデザインもDr.テンマに似せてくるんじゃないかなー…と思いきやそんな小細工はいっさい無しでした。確かにこのデザインは、僕たちの知ってる天馬博士。あのもじゃもじゃ前髪も完全再現。このPLUTO 4巻では原作の通りにアトムが「死ぬ」。やはりアトムを救えるのは生みの親である天馬博士だけ…なのか?そしてこの展開だと原作でのプルートゥとイプシロンの海底での件はどうなる?あー続きが気になるー!!!!10ヶ月待たなきゃダメなんですか!!!!

で、ここからはかなり個人的な話になるんですが、私、「ロボットが悲しい目にあう話」を観ると必ず泣いちゃうのです。23のいい大人がフツーに。確かに涙もろい方ではあるんですが、ロボットの話だともうヤバい。フクオカアキラの最大の弱点とも言えるでしょう。スピルバーグの「A.I.」はラスト30分泣きっぱなし。そこまで映画館で泣いたのはその一度のみ。ちょっと前にフジテレビ系日曜朝9:30(つまり増刊号直前)から鉄腕アトムを放映してたんだけど、はっきり言って毎週泣いてました。しかも家族で毎週観てて涙のやり場に困るわけ。で毎週毎週ものすごい不自然な感じで観てた。

しかしなんでロボットの話だと泣いちゃうんだろうなぁ。たぶんロボットっていう存在自体がそもそも切ないんだろうね。人間が自分のかわりに労働させるために自分に似せて作られた存在。もうその時点で人間の業を背負わされてる感がある。それでも人間に歯向かうこと無く、ただただ自分の使命を果たし続ける……ってもうこれだけで泣きそうなんですけど。

…って、これだけ盛り上がっておいて言うのもなんですが、実は私、ほっとんどマンガは読まないのです。でも手塚治虫、浦沢直樹両名となると話は別。もちろんアトムも大好き。ガンダムは所詮ただの兵器でしか無いけど、アトムは心を持っているから。でもそれが切なくて、悲しい。

関連リンク :
手塚治虫 - Wikipedia
浦沢直樹 - Wikipedia
鉄腕アトム - Wikipedia

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