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"恐怖" のさじ加減

2014.03.18 Text

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恐怖は便利だ。恐怖は人に危機感を与え、伝播し、行動を起こさせる。

「このままではあなたは病気になります」「あなたは知らない間に損している!」「あなたは人にどう見られているか知っていますか?」…このように恐怖を喚起するのは非常に効果的である一方で、やり過ぎれば「いかがわしさ」も演出してしまう。

三菱東京UFJ銀行公式サイトの「重要なお知らせ」がTwitterで話題になった。黄と黒のストライプの見出し、大きなタイトルが仰々しくスクロールしている。本来のレイアウトを崩た情報は異物感を放ち恐怖を喚起する。「偽のメールへの注意」「ウィルス対策」を伝える内容だが、個人的な初見の感想は「サイトがハックされているのでは?」だった。フィッシングサイトやハッキングのニュースはよく聞くし、何より怪しい。「うまいことを言ってスパイウェアをダウンロードさせようとしているのでは…?」という疑いが沸き上がる。…が、実際はそんなことはなく、オフィシャルな情報だった。「まるで釣りバナー」のようなデザインに逆に釣られてしまったわけだ。

お金が絡む問題であるし、真っ先にユーザーに伝えるべき情報である。担当者の目線から見ても正しい情報が伝わらず問題が広がるのは絶対に避けたい。しかし多くのユーザー(自分も含め)は悲しいほど言うことを聞かないものだ。だから脅迫してでも伝えたくなる。が、個人的に今回の件は「信頼」を押し抜けて「恐怖」そして「いかがわしさ」が強く出てしまったように感じる。お金を預けている以上、信頼こそが銀行の最も与えるべきイメージだというのに、である。

恐怖は強い。だからこそ情報の優先度とそれに連動したさじ加減が問題になるのではないか。いくつかの事例を取り上げたい。


NHKの新しい津波警報は、従来のNHKのな方針を超えた極めて強い恐怖を伝えるものだ。津波のスピードを考えると緊急性が強く、そして命に代えられるものはない、だからこそこれだけの強さで危険を喚起する必要がある。

パナソニックの石油ストーブ回収のお知らせCM。こちらも命が関わる重要な問題だが、全体のトーンは落ち着いていて冷静さを感じさせる。恐怖の喚起が弱くなっても、情報を正確に伝えることに重きを置いた形。他のCMの喧噪の中で逆に目立つ効果もあっただろう。

前2つは公共性があるものだが、商業性を含む内容のものも。日産セレナのCMで自動ブレーキ機能を紹介する内容。事故を未然に防ぐ描写が描かれており、過度な刺激は抑えられている。一方CM中に挿入される「親として。」というコピーの裏には「親として子どもの安全を考えるのは当然であり、子どものことを考えない人間は親ではない」という "柔らかな脅迫" が含まれているようにも感じられる。

今回の一件、ではみんなが重要な情報にちゃんと目を通す対案を出してよ、と言われるとこれがなかなか難しい。確かにクライアントに対して反論できるかどうか、自信が持ちにくいのも事実。重要なメッセージを伝えたいあまり、我々は不用意な不安を煽っていないだろうか。信頼と恐怖、モラル、安全、受け取り方の差異…残念ながら絶対の正解はない。情報を受信し、また発信する人間の一人として我々がどう向かい合うべきか考えなければならない。


関連リンク:
なぜ緊急時になるとデザインが崩れるのか : could

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