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Tron: Legacy(トロン・レガシー)はデジタル歌舞伎ではないか、という結論に至る。

2010.12.20

※2010.12.21追記
凄い持って回った書き方をしてしまったのでやや誤解を招くエントリーになってしまいましたが、あくまでTron: Legacyのストーリーはハリウッド映画としてベーシックなものです。僕個人としては普通である以上ストーリーに不満はないです。それでも世の中には「何かと重箱の隅をつつきたがる人」がいるもので、そういった人のことをだいぶ意識して書いた文章です。…でもまあ映画の感想も人それぞれだしね。僕個人の気持ちとしてはみんなに見てほしい映画です。だってかっこいいもん!そういったところをふまえてお読みください。じゃ僕はRaw-Fi 3Dの準備がありますので!

Tron: Legacy(トロン・レガシー)。IMAX 3D、字幕付きで鑑賞。

さて時間もないことだし回りくどいことを言わず単刀直入に行こう。まずTron: Legacyを観るにあたって大切な3か条を書き記す。

1. 「映画はストーリーがなきゃヤダ」「筋が通ってない話は嫌い」「映画は泣くために見る」とか言うやつはそもそも観るな。
2. 前作「TRON」は必ず鑑賞しておくこと。
3. IMAXシアターが近くにあるなら極力そこで観る。音声吹き替え推奨。

何となく感じてもらえたと思うが、Tron:Legacyは見る人を選ぶ。「映画はとても高尚なもの」と捉える人にはまず耐えられない、かもしれない。その原因は主にストーリー部分であろう。が、かといってこの映画に何の価値もないかと言うとそうでもないんじゃないかな、というのが今回の論旨。

[ストーリー]

"最低" と評する人もいるけど映画のストーリーってこんなもんでしょう。僕にとってあれくらいは普通。そもそもオリジナルTRONだってあらすじは「俺のゲームパクった証拠探してたらなんか悪いプログラム倒してたわwww」なのでそもそもそんなに内容がないわけですよ。ただもしTron: Legacyを見る予定なら間違いなく前作TRONを観ておいた方がいい。細かいネタがかなりちりばめられているのでそれを拾っていくだけでも楽しめる部分がある。あと字幕で鑑賞したんですが、台詞が若干浮ついていた感じがしたのは元の台詞のせいか、それとも字幕翻訳のせいか(もちろん、なっちゃんのお仕事だよ☆)。後述の映像の件も含めると、個人的には吹き替え版の鑑賞をお勧めします。

ストーリーの軸は「傲慢さ」である。映画は主人公・サムが父親の会社を我がものにする人間に泡を吹かせてやろうという「傲慢な行動」からスタートする。取締役として正当に行使できる権利があるのにも関わらずそれを使わず、子どもっぽいやり方で我を通そうとする。サムが会社の人間を快く思わない理由もわかる、が、社会的な責任を負わず自らの要求のみを通そうとすることこそ傲慢というものだ。

一方サムの父親、前作の主人公であったフリンは電子世界の創造主である。電子世界の存在にとって彼は "神"(彼を見た住人が手を合わせ拝むシーンは印象的だ)。フリンは自らに似せて作ったアバター、「クルー」と共に電子世界を管理しようとする。しかしクルーの反逆にあい、平和だった電子世界は一転。横暴なクルーの圧政によって電子世界は混乱する一方、フリンは電子世界の果てに逃亡する。そして前作でビットくんとの漫才的な掛け合いを見せるほどひょうきんだったフリンの姿は身を潜め、「禅」なんてまやかしにすがるようになってしまった。クルーこそがフリンの「何でもコントロールできる」という傲慢さをミラーリングしたものであり、さらに現在のフリンは自らの創造物に手をかけることを恐れ、「禅」や「全てが収まるまで時を待つ」などという消極的解決に向かおうとする。自らの責任を果たそうとしない彼の心もまた傲慢だ。

そしてクルー。自らは神に似せて作られたが、神の力「創造力」は持ち得ていない。しかしその力をなんとかして手に入れようとする。人間は神に似ても神になれないように。決して手の届かないものを手に入れようとする傲慢。このように各々が手に持たないもの達の物語がTron: Legacyである。父と子、お互いが「勇気」「自制」という2つのカードを出し合うことで、二人の慢心を解消することがこのストーリーの大きな柱である。

[映像]

Tron: Legacyにおいて最大の柱はもちろん映像。3D大作映画と言えばアバターだが、アバターのように「誰も見たことがないような不思議な光景」はTron: Legacyではいっさい出てこない。どこまで言っても電子世界の風景が続くだけで、想像だにしないものはまったく出てこない。が、何が凄いのかと言えば単純にかっこいいのだ。おなじみライトバイクでの光の軌跡を使った攻防。IDリングを使った殺陣。立ち姿。座り姿。構え姿。広大な電子都市。浮遊する乗り物。どのカットもかっこいい。オレンジ色のトロンスーツを着たおっさん5人が下から競り上がってくるだけでもうね、超痺れる。なんて言ったらいいんだろう、映像の「キメ」がいちいちかっこいいんですよ。歌舞伎で言うところの「見得」にあたる部分だと思うんだけど、こう見えたらかっこいい、こうなったらかっこいいっていうのがよくわかって作られている感じ。こんなにちゃんと気持ちよく映像が決まるならこれだけで十分楽しめる。なので観に行く人は出来ればIMAXで、字幕はやめて吹き替えで映像に集中するのがベスト。

一方若干カットの時間配分が緩い部分と早すぎる部分の両方があったような気がしてそこがもったいない感も。ジョセフ・コシンスキーさんが長編初監督というのもあるんでしょうね。

あと前髪ななめぱっつんのヒロイン、クオラが強かわいくて素敵でした。クラブのオーナーのキャスターもいい感じのおバカキャラで○。

[音楽]

tron_legacy_0.jpg

もう既にサントラを買って聴き込んでいる人も多いでしょうが、映画の音楽はDaft Punkが全面的に担当。IMAXの音響で聴きましたけどこれがヒジョーによい!映像・音響両面でIMAXでの鑑賞をお勧めします。サントラのレビューで「Daft Punkっぽくない曲が多くて不満」との意見もありますが、音楽としてはちゃんと映画用の音になってるのはけっこう重要な気がしますけどね。Daft Punk的主張は香り程度にとどめておくのが正解じゃないかと。そしてやはりご本人登場のクラブのシーンはアツい!!

みんな映画に何を求めているんだろうか問題を少し、考えたり

結論としてはTron: Legacy、「映像と音楽に身を任せていれば楽しい映画」ということになりました。歌舞伎を観に行く感覚で行ったらいいと思う。いや、灰皿とかテキーラとかそういうことじゃなくてですね…映像と音の「見得」を楽しむという意味で。ともかく僕は観賞後、非常に満足して映画館を出ましたが、一方でお話に一点のほころびも許せないタイプの人にはかなり苦痛な映画でしょう。

一応言っておきますが、私はどちらかと言えば作り手だし、自分がはずれを引いたとも思いたくないので、レビューでもいいところを拾いがち。それにぎゃーぎゃー悪いところ言ってもなんか感じ悪くなっちゃうし、「俺選定眼なさ過ぎwww」「俺時間の無駄使い過ぎwww」っていう評判を周囲にばらまくような行為な気がして嫌だったり。いやま、私が自意識過剰なだけなのかもしれませんな。皆さん、映画は自己責任で楽しみましょう!!

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