iPodファミリー一新。
Apple TVの話は別の記事でしているので、こちらでは今日発表されたその他のApple関連製品を、ものとしての善し悪し(触ってもいないのであくまで想像)、Appleの戦略(こっちは完全に妄想)の双方から掘り下げていくことにする。
ウォークマンが2001年11月の調査以来初めてiPodの国内販売シェアを上回りトップに躍り出た、という記事が出た。残念ながら今回のiPodの発表で三日天下どころか一日天下くらいで終わっちゃいそうな気もするけど、確かにウォークマンのシェアが確実にのびているのは事実。老舗音楽プレイヤーメーカーとしての品質へのこだわりが確実に実を結んでいる。Appleとしては主戦場がiPhone、iPadに移ったとはいえ、もう少しiPodを現役で働かせたい気持ちもあるだろう(ただAppleは要らないと思ったら一瞬で捨てる人たちだから注意ね)。それをふまえて今回の発表である。

まさかの先祖帰り。第三世代で思い切って本体側の操作ボタンをなくして超最小化を計ったiPod shuffleだったが、第二世代にあったコントロールボタンを全て復活させた。ユーザーの声を反映させた変更だろうが、尖りを失ったshuffleはもう進化の余地がないということを証明してしまった、とも言える。おそらく最後のshuffleのデザインになるであろう。なぜならBluetoothイヤフォンの普及や、今回nanoが超小型化したこともshffleの存在意義を薄くする要因の一つとなった。が、直感的な使いやすさとサイズではiPodファミリーの中でも相変わらず一番。2GBで¥4,800という価格もいい。不動の存在としてこれからも細く長く愛される存在になるだろう。

他社製品の成熟によってshuffleとnanoは確実にシェアを奪われている。shuffleはもう進化の限界だが、しかしnanoはまだ余地がある製品だ。今回のアップデートで遂にクリックホイールを削除。そのかわりshuffleとほぼ同じサイズのボディ(もちろんクリップ付き)に3×3cmのマルチタッチパネルを付けた、タッチ操作式のnanoを完成させた。言わずもがな、超小さい。それでいてビデオ再生、カメラがついていない意外はほぼスペック的に前回のnanoと同様の性能を持っている。音楽に写真にビデオにラジオにユーティリティに…と様々な機能が加わっていったnanoだが、これ全てをクリックホイールで操作するのが難しくなっていたのも事実である。マルチタッチパネルならば、音楽用、写真用、ラジオ用といった機能に合わせたインターフェースを提供できる。もはや「iPod touch nano」といってもいい仕上がりである。確かにこれならば他社は早々にまねすることはできない。新たなiPod nano独走時代を予感させる完成度。正直欲しい。とりあえず早く触りたい。
nanoはこれまでのiPodシリーズの最主力製品であり、他社を打ち負かすことも重要ではある。がしかしもう一つnanoには大切なミッションがある。iPodというカテゴリーの商品の寿命はもう長くない。真のApple主力部隊はiPhone/iPod touch/iPadシリーズだ(彼らはAppleの稼ぎの半分を担っている!)。つまり今nanoを使っているユーザーをiPhoneやiPod touchのユーザーへ移行させなければAppleは大きな利益を失うことになるかもしれない。nanoがタッチパネル型の操作系に変化したのもそれが大きな理由だろう。nanoユーザーがタッチ操作に慣れることで、iPhoneやiPod touchにスムーズに移行することができる。タッチパネルに慣れた結果、画面サイズが物足りなく感じる人も出てくるだろうし。意表をついたようで意外と正当進化なのだ。8GBが¥13,800、16GBが¥16,800。個人的にとりあえず早く触りたいのは間違いなくnanoです。

今まではカメラなどの機能がない「弱体化したiPhone」という印象だったiPod touch。ところが今回のアップデートでは、Retinaディスプレイ搭載、FaceTime対応ビデオカメラを前後に搭載、ジャイロセンサー、A4チップ搭載…とiPhone 4とまったく同じスペック。にも関わらず旧機種よりも更に薄い7.2mm。そしてiPodなのに本体に標準でマイクがついているのも見逃せない。もはや「電話できないだけのiPhone 4」である。もはや出し惜しみなし、iPhoneと差別化を撤廃したのは、スペックをiPhoneにあわせることでiPod touchに対応したアプリを増やし、アプリの売り上げを増加させるもくろみだろう。そもそもアプリケーションが使えることがウォークマンをはじめとする他社オーディオプレイヤーとは一線を画す点なのだし。更にiPhone 4と同クオリティと思われるカメラを内蔵しているのも見逃せない。正直これでコンパクトカメラも小型ビデオカメラも不要。更にiPod touchが以前から推しているゲーム機としての利用も大きい。AppleによればDSとPSPの売り上げ台数を足したもののさらに50%増しの数だけiPod touchが売れているという。カメラでもあり、ゲーム機でもありオーディオプレイヤーでもあり…あらゆるものに変身するiPod touchに追いつけるメディアプレイヤーはおそらく存在しないだろう。8GBが¥20,900、32GBが¥27,800、64GBが¥36,800。Wi-FiモデムとSkypeアプリを併用して「世界最薄のiPhone 4」として使ってもいい。
蛇足ではあるが、今までiPod touchに見られていたWi-Fiアンテナ用の黒い樹脂パーツが見当たらない。金属は電波を通さない、よってこのままではWi-Fiが繋がらないのでは?と考えてしまうが横からよく見るとふちに溝が…。つまりiPhone 4よろしくアンテナが画面の周りに張り巡らされていると見てよさそうだ。…となるとiPhone 4と同じように「繋がらない」問題が出てきたりしないのか!?…おそらくiPod touchにはアンテナが1種類しかないので、たぶんそれも問題ないはずだが…さすがにAppleも連続で同じ不具合は出さないだろうからそこは安心していいところだと思いたい。
総括
本当はiOS4.1と4.2も発表されてるんですがそこはパスで。iOS4.1はHDR撮影が面白そう。4.2は無線経由でのプリントや映像出力、iPhone版とiPad版の統合が大きな目玉か。iPodの役目が少しずつ終わりつつありますが、それでも魅力的で尖ったプロダクトを出してくるAppleはやはり面白いものです。