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新Apple TVから、ぼくらの「借りぐらし」時代が始まる。

2010.09.02 Gadget

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クラウド、それ即ち「借りぐらし」。

映画「借りぐらしのアリエッティ」では、主人公をはじめとする小人たちが人間たちの生活用品を「借り」て生活をしている。かくいう我々もネットが普及するに従って「借り」で生活をし始めている。つまりクラウドサービスである。ネットの向こう側にあるストレージを「借り」、サーバーのマシンパワーを「借り」、他社がアップロードしたコンテンツを「借り」る。自分で所有することなく「借り」る、これがクラウドサービスの本質だ(少なくとも私の定義では)。…といってもピンと来ない人はYouTubeを想像すればいい。YouTubeに動画をアップロードするとき、記憶領域も、動画を変換するパワーも全部YouTube持ちだ。それどころか我々が目にするYouTubeのコンテンツのほっとんどが "他人" がアップロードしたコンテンツである。まさにYouTubeは現状で最もクラウド的なサービスの一つだ。

そんな猫もしゃくしもFFかと思うくらいクラウドクラウド言う時代、Appleももちろん今後クラウド型ビジネスへの移行を無視することはできない。近い将来Macは「ネットの向こう側にあるもの」になるのもそう遠い未来ではないはずだ。これはパーソナルコンピューターの進化の中でも大きな転換点である。しかしいきなりこれをいっぺんにお客に押し付けてはお客が逃げていくだけだ。ゆっくりと理解してもらいながら、クラウド時代へ移行していく必要がある。しかし「クラウド」という言葉はAppleにとってNGワード。なぜなら「クラウド」はApple最大のライバル…Googleの超得意分野だからだ。お客さんも、どうせクラウドなら得意なGoogleさんに一つお願いしますよ…となってしまう。クラウドで戦わざるを得ないのに、クラウドというキーワードが使えないジレンマ。そこでAppleが自分の武器として用意したキーワード、それは「ストリーミング」だ。

新Apple TVは貯めれない。だから借りるしかない!

新Apple TVを一言で言い表すならば「ただビデオをストリーミングする機械」である。新Apple TVは従来のもの二比べて大きさが4分の1。そのスペースに脳みそであるA4プロセッサと、ネットワークを繋ぐLAN端子、そしてテレビに映像を流すためのHDMI端子があるだけ。細かく言えば電源端子と光オーディオ端子、miniUSB端子もあるが、それにしてもこれしかない。最も重要なのは今まであった160GBのHDDがきれいさっぱりなくなっていること。つまり映像を残しておくことができない!巷にあるビデオレコーダーのほとんどは映像を残すためにある。しかし新Apple TVにはそれがない。全ての映像は基本的にネットの向こうからストリーミングする。映画やテレビ番組を直接して購入してストリーミングで観ることもできるし、もちろんYouTubeの再生もOK。家のパソコンの中にあるiTunesライブラリから音楽や映像をストリーミングすることもできる。11月にリリースされるiOS 4.2があれば、iPhoneやiPadから映像をストーリーミングできるようになる。新Apple TVにとって、映像を流すことは自分に溜め込んだものを映し出すことではなく、他人から受け取ったものを映し出すこと。つまり全部「借り」。

しかし自分が持っているコンテンツならともかく、せっかくお金を出したのに持っておけないのは少し残念な気もするかもしれない。しかし逆に考えてみよう。一度観た映画やテレビ番組を、数ヶ月以内にもう一度見直す可能性は?ない。ほとんんどない。にも関わらず、貴重なHDDの記憶容量をそいつが占領し続けるのはナンセンスじゃないか?HDDレコーダーを頻繁に使っている人ならよく思うことだろう。録画するのは簡単だ、だが見終わった映像を削除したり整理する方が何十倍も大変だと…。ならばいっそのこと一回観てデータが残らない方がよっぽど気が楽だ。また仮に何度も見返す映画(私にとってのサマーウォーズのような)があったとしても一回観るのに新作$4.99、旧作$3.99で観れるのだから、かなりの回数を見返さない限りはDVDやBDを買うよりは安いだろう。もしくはiTunes経由でダウンロード購入すればいいだけの話である。

「持つ」から「借りる」。新しい価値観の時代。

そう、「持つ」のは意外と疲れる。「借りる」ほうが楽でいい。新Apple TVはAppleが初めて作った「ただ借りるだけのデバイス」である。Appleにとってはビデオ販売での更なる収益増加を見込むだけでなく、「クラウドとはこういうものですよ」ということをユーザーに浸透させる役割を担っているのではないだろうか。冒頭にも書いた「ビデオストリーミングこそが現状で最もクラウドを有効活用したサービスである」という発想が新AppleTVを見事に生まれ変わらせたのだ。潔い決断は価格にも現れている。新AppleTVの価格は$99。安い。私は買います。この$99の黒い箱を輝かせているのは、iPhoneであり、iPadであり、全てを包むiTunesサービス群に他ならない。

ただ大きな問題が一つ。日本では映画、テレビ番組の販売は(今のところ)開始される予定がない。映画も買えない、テレビ番組も買えないでは、さすがの筋金入り信者(ぼくとしてはその自覚はないんですけどね!)もいい加減怒らざるを得ない。ここはどこだかわかってますか?日本ですよ!?Appleの交渉が悪いのか、日本の権利者の人たちの機嫌が悪いのかはぼくにはわかりません。でもねー、あのさー、もう一度言うけどここ日本だよ。すげー進んでる国なんでしょ?店舗や郵送でのビデオレンタルがこれだけ発達していて、WiiでもPS3でもビデオレンタルできるっていうのにこの状況。関係者の皆さん、大至急で対応、宜しくお願いいたします。

iPodファミリー一新。

2010.09.02 Gadget

Apple TVの話は別の記事でしているので、こちらでは今日発表されたその他のApple関連製品を、ものとしての善し悪し(触ってもいないのであくまで想像)、Appleの戦略(こっちは完全に妄想)の双方から掘り下げていくことにする。

ウォークマンが2001年11月の調査以来初めてiPodの国内販売シェアを上回りトップに躍り出た、という記事が出た。残念ながら今回のiPodの発表で三日天下どころか一日天下くらいで終わっちゃいそうな気もするけど、確かにウォークマンのシェアが確実にのびているのは事実。老舗音楽プレイヤーメーカーとしての品質へのこだわりが確実に実を結んでいる。Appleとしては主戦場がiPhone、iPadに移ったとはいえ、もう少しiPodを現役で働かせたい気持ちもあるだろう(ただAppleは要らないと思ったら一瞬で捨てる人たちだから注意ね)。それをふまえて今回の発表である。

iPod shuffle

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まさかの先祖帰り。第三世代で思い切って本体側の操作ボタンをなくして超最小化を計ったiPod shuffleだったが、第二世代にあったコントロールボタンを全て復活させた。ユーザーの声を反映させた変更だろうが、尖りを失ったshuffleはもう進化の余地がないということを証明してしまった、とも言える。おそらく最後のshuffleのデザインになるであろう。なぜならBluetoothイヤフォンの普及や、今回nanoが超小型化したこともshffleの存在意義を薄くする要因の一つとなった。が、直感的な使いやすさとサイズではiPodファミリーの中でも相変わらず一番。2GBで¥4,800という価格もいい。不動の存在としてこれからも細く長く愛される存在になるだろう。

iPod nano

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他社製品の成熟によってshuffleとnanoは確実にシェアを奪われている。shuffleはもう進化の限界だが、しかしnanoはまだ余地がある製品だ。今回のアップデートで遂にクリックホイールを削除。そのかわりshuffleとほぼ同じサイズのボディ(もちろんクリップ付き)に3×3cmのマルチタッチパネルを付けた、タッチ操作式のnanoを完成させた。言わずもがな、超小さい。それでいてビデオ再生、カメラがついていない意外はほぼスペック的に前回のnanoと同様の性能を持っている。音楽に写真にビデオにラジオにユーティリティに…と様々な機能が加わっていったnanoだが、これ全てをクリックホイールで操作するのが難しくなっていたのも事実である。マルチタッチパネルならば、音楽用、写真用、ラジオ用といった機能に合わせたインターフェースを提供できる。もはや「iPod touch nano」といってもいい仕上がりである。確かにこれならば他社は早々にまねすることはできない。新たなiPod nano独走時代を予感させる完成度。正直欲しい。とりあえず早く触りたい。

nanoはこれまでのiPodシリーズの最主力製品であり、他社を打ち負かすことも重要ではある。がしかしもう一つnanoには大切なミッションがある。iPodというカテゴリーの商品の寿命はもう長くない。真のApple主力部隊はiPhone/iPod touch/iPadシリーズだ(彼らはAppleの稼ぎの半分を担っている!)。つまり今nanoを使っているユーザーをiPhoneやiPod touchのユーザーへ移行させなければAppleは大きな利益を失うことになるかもしれない。nanoがタッチパネル型の操作系に変化したのもそれが大きな理由だろう。nanoユーザーがタッチ操作に慣れることで、iPhoneやiPod touchにスムーズに移行することができる。タッチパネルに慣れた結果、画面サイズが物足りなく感じる人も出てくるだろうし。意表をついたようで意外と正当進化なのだ。8GBが¥13,800、16GBが¥16,800。個人的にとりあえず早く触りたいのは間違いなくnanoです。


iPod touch

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今まではカメラなどの機能がない「弱体化したiPhone」という印象だったiPod touch。ところが今回のアップデートでは、Retinaディスプレイ搭載、FaceTime対応ビデオカメラを前後に搭載、ジャイロセンサー、A4チップ搭載…とiPhone 4とまったく同じスペック。にも関わらず旧機種よりも更に薄い7.2mm。そしてiPodなのに本体に標準でマイクがついているのも見逃せない。もはや「電話できないだけのiPhone 4」である。もはや出し惜しみなし、iPhoneと差別化を撤廃したのは、スペックをiPhoneにあわせることでiPod touchに対応したアプリを増やし、アプリの売り上げを増加させるもくろみだろう。そもそもアプリケーションが使えることがウォークマンをはじめとする他社オーディオプレイヤーとは一線を画す点なのだし。更にiPhone 4と同クオリティと思われるカメラを内蔵しているのも見逃せない。正直これでコンパクトカメラも小型ビデオカメラも不要。更にiPod touchが以前から推しているゲーム機としての利用も大きい。AppleによればDSとPSPの売り上げ台数を足したもののさらに50%増しの数だけiPod touchが売れているという。カメラでもあり、ゲーム機でもありオーディオプレイヤーでもあり…あらゆるものに変身するiPod touchに追いつけるメディアプレイヤーはおそらく存在しないだろう。8GBが¥20,900、32GBが¥27,800、64GBが¥36,800。Wi-FiモデムとSkypeアプリを併用して「世界最薄のiPhone 4」として使ってもいい。

蛇足ではあるが、今までiPod touchに見られていたWi-Fiアンテナ用の黒い樹脂パーツが見当たらない。金属は電波を通さない、よってこのままではWi-Fiが繋がらないのでは?と考えてしまうが横からよく見るとふちに溝が…。つまりiPhone 4よろしくアンテナが画面の周りに張り巡らされていると見てよさそうだ。…となるとiPhone 4と同じように「繋がらない」問題が出てきたりしないのか!?…おそらくiPod touchにはアンテナが1種類しかないので、たぶんそれも問題ないはずだが…さすがにAppleも連続で同じ不具合は出さないだろうからそこは安心していいところだと思いたい。

総括

本当はiOS4.1と4.2も発表されてるんですがそこはパスで。iOS4.1はHDR撮影が面白そう。4.2は無線経由でのプリントや映像出力、iPhone版とiPad版の統合が大きな目玉か。iPodの役目が少しずつ終わりつつありますが、それでも魅力的で尖ったプロダクトを出してくるAppleはやはり面白いものです。

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