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僕らが必要としていたのは、きっと小さな成功だった。『東のエデン劇場版II Paradise Lost』

2010.04.12 Movie

eden_of_the_east_II_0.jpg

ネタバレを含みますのでいちおう観るつもりの人は読まないように。

正直、何書いていいかわかんないんだけど。

「東のエデン 劇場版 II Paradise Lost」の感想というかレビューを書かなければ、とずっと思っていたができなかった。「東のエデン 劇場版 I The King of Eden」のレビューをしているんだからその続きであるIIのレビューもするのが当然ではある、がえらく悩んでしまった。理由としては簡単で、映画としてはうまくいっていないように感じてしまったからである。テレビのテンションで続いているのに、話の焦点がすげ変わったせいだと思うんだけど、結果的には「時間不足」になってしまっている印象。そして私の中では「映画すなわちエンターテイメント」という基準があるため、映画的な興奮はさほど感じなかったこと。話の落としどころも、現在進行形の事象を扱っていることもあって、むしろよくここまで食らいついたなとと関心しているのですが…ともかくどう書いていいものかなかなかまとまらなかった。

で今回のエントリーでは完全にまとを絞って、私が今作で最大のキーになるであろう、亜東と滝沢がお金について語るシーンから話を切り出すことにする。何故新聞配達のバイトをしているのか?という質問に対して滝沢はこう答える。

「人からお金を貰う練習をしているんだ」

お金って何だろう?:「クズ子」の場合。

ワラノート うちの母ちゃん凄いぞ

ところで「クズ子」という人物をご存知だろうか。クズ子はちょうど1年前ほどに2chで「うちの母ちゃん凄いぞ」というタイトルでスレッドを立てた女性(スレ中の表記に習い敢えて敬称略です。クズ子さんごめんね><)。そのまとめはここにあるのでぜひ読んでほしい。全5回にわたってまとめられた長いスレッドなのだけれども、これが非常に面白い。クズ子の母親が離婚し、家族が崩壊したところから話が始まる。借金取りに追われる生活を脱するべく、一人奮闘するクズ子のお母さんはあっという間に出世を繰り返し、母親として、そして一家の大黒柱として、崩壊した家庭を支えることになったとてつもないお母さんの奮闘記。…なんだけど問題はクズ子のほうで。両親の離婚の件で心を病んだ後、回復した後もクズ子というだけあってニートでお金にしか興味がないような荒んだ生活をしていたという。私もだらしない人間だけど、そんな私でも驚くほどのダメっぷりを発揮するクズ子。家にいても何もしようとしない、ただ友達と何となく遊んでただただ怠惰な日々を過ごす。彼女はその環境から出よう、変わろうという気持ちすら生まれない。しかし彼女に転機が訪れる。料理を作り始めたことだ。

母や妹のために料理を作る。他人のために何かする、というのは彼女の中での変化の第一歩だっただろう。そして彼女はひょんなことから自分で作ったクッキーをバザーで売ることになる。彼女にとってお金は使うものでしかなかった。しかし彼女は自分の手で、力で、初めてお金を貰うことができた。その5000円の何と尊いことか!(この時のクズ子はそんな感情がないからすぐ使っちゃうんだけどね) その後も彼女の金銭感覚のズレはなかなか治らないながらも、この5000円をスタートに自分でお金を稼ぐことを覚えていく。無気力なニートから、確実に成長を遂げていく彼女の物語はとても清々しい。

僕らに必要なのは、ほんの小さな成功体験

滝沢は言う。「偉そうにみんなお金を使っているし、お金を使うことが楽しいようにみんな振る舞ってるけど、本当は違うんじゃないか。お金は受け取れることがうれしいのが本来の社会じゃないのか」。お金を使うことに引きずられて、本質を見失っている。大きなお金を使うために大きな成功を収めようとする必要はそもそもない。今日本人に必要なのは「成功体験」だ、と彼は言っているのだ。成功体験が自信に繋がる、そしてその成功をさらに大きくしようと考えることで社会は回る。何も成功といっても大きな成功である必要はない。大企業に就職することだけが成功じゃない、ホリエモンや孫正義になることだけが成功じゃない、もっと小さくていい。自分でものを売り、お金を受け取る。そんな小さな成功体験が。

5000円は確かに少額である。しかしクズ子にとっては大切な成功体験だった。東のエデンの結末でも、ニートたちがバザーを開き、自分の手でお金を稼ぐことを覚えていく様子が描かれている。滝沢は日本国民全員に「1円」を配ることで、新たな経済圏「東のエデン」を成立させるというよりもむしろ、お金を貰うことの喜び、自分を信じてくれる人がいることの喜びを伝えたかったのかもしれないですね。

結論:「iPhone OS 4」は賢い。いい意味でも、ズルい意味でも。

2010.04.09 Gadget

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Apple - QuickTime - April 2010 Apple Special Event

日本時間4月9日、午前2時より始まったiPhone OS 4発表会にて、iPhone OS 4の主な機能が発表された。iPhone OS 4のリリース時期について先に行っておくと、今年の後半(おそらく夏、時期iPhone発売と同時か?)。もちろんiPadにも対応していてiPad版は秋のリリース予定になる。例によって開発者用SDKは本日から配布がスタートしている。では眠い目をこすりながら今回発表された機能をフォローしていく。

追加機能はすべてで100以上

今回の発表では100以上の追加機能のうち7つに的を絞って説明が行われた。じゃあ残りの90近い機能は何なのか?すべてに言及することはなかったが、engadgetの2枚の画像からその内のいくつかを伺い知ることができる。

iphone-os-4_0.jpg

カレンダー情報へのアクセス、アプリ中からのSMS利用、Quick Look、Bluetoothキーボード、5倍までのデジタルズーム…などが見て取れる。細かいながらもどれも堅実なアップデート。更にiPhoneのアプリが使いやすくなることは間違いない。ではここから今回の主役「7つの主な新機能」について触れていくことにする。

1. マルチタスク

iPhoneについて最もブーイングが多い点、それは同時にアプリを起動できないこと。AndroidやPalmのwebOSはとっくに対応しているのにAppleがそれに触れなかった理由…それはバッテリーの持ち時間にあるという(もちろんAppleの主張)。で、それを解決する方法を思いついたんでこの度OS4ではマルチタスクに対応しましょう、という話。その方法は、アプリの全部は動かせないけど、よく使いそうな機能はバックグラウンドで使えるようにする、というもの。

まずBGMが流し続けられる。これでネットラジオを聞きながらネットサーフィンができるように。Voice Over IP。これでSkypeを待ち受けができる、本物の電話のように使うことができるようになる。GPSの常時起動。音楽を聴きながらでも目的地にたどり着けそう、Naviタイムみたいなものもできるでしょうね。また、処理の終了通知のようなものも。例えば何かを保存や送信処理している間はアプリをじっと見つめていなければなりませんでしたが、その終了のタイミングもちゃんと教えてくれるようになるみたい。

そして最後、もっと早くアプリを切り替えたい!という要望に応えるFast app switching。Homeボタン二回押しで、画面がぐっとせり上がり、現在使用中のアプリリストが出現。MacOS Xで言うところのCommandキー+tabキーのような印象ですね。もう地図を見るだけのためにアプリの終了・起動を繰り返さなくてもいいんですよ奥さん!

2. ホーム画面のFolder機能

正直言って今までホーム画面の整理は面倒くさくてしょうがなかった。アプリ入れたら整頓せずにそのまんま〜みたいな。でもFolder機能がその苦労がだいぶ軽減されそう。自分でフォルダーを作ることができて、その中に好きなようにアプリを入れて整理整頓ができる。もちろんフォルダーの名前も自分で決められる。この機能のおかげでインストールしておけるアプリの数も180から2160に大幅アップ!…まそんなに入れる人はいないと思うけどねw このフォルダーはホーム画面下部の固定リスト部分にも置くことができるので、かなり便利になりそう。

3. メールがかなり便利に

携帯といえばメール、ですがiPhoneのメーラーはメールアカウントを追加すればするほど、行ったり来たりが面倒に…だったらメールボックスを一個にしちゃえ!ということでUnified inboxなるものができました。かんたんに言うとごちゃ混ぜ受信箱。MacOS XのMailでいうところの「受信」boxですね。他にもメールボックスを素早く切り替える機能やメッセージをスレッド表示できる機能(?)が追加されているらしいけど詳細の説明はなかったような。あと添付ファイルをインストールされたアプリで開けるようにも。これ、けっこう重要ですね。

さてここからは新機能の毛色がちょっと変わります。これまではユーザーの利便性のための新機能、そしてここからは主にAppleが競合他社と戦うための新機能です。

4. iBooks

もはや説明不要、iPadのiBooksがiPhoneにもそのまま載っかる。もちろん購入も可能。「くまのプーさん」が1冊無料でついてくるところまで同じ。…たぶんまだ日本じゃサービス始まらないんでしょうけどね。残念すぎるのでどうか出版社の方にもご尽力いただきたいところであります。

5. 会社利用のための機能強化

自分用と会社用の携帯を別に持っている人も結構いると思います。で、会社用携帯となるとセキュリティが問題になったりする。もちろん各社既に会社向け携帯はリリースされているわけですが、それを追う形でiPhoneもこの部分の機能強化をしてきました。データのプロテクトやiPhone自体の管理が一括で行えるようになる模様。あんまり普通の人には関係なさそうな項目ですが、最近ユニクロでiPhoneが採用されたりしてますからね。会社利用というのはAppleもできれば押さえておきたい市場です。

6. ソーシャルゲームネットワーク、その名もGame Center

これは多くの人にとって予想外だったんじゃないでしょうか。このサービスはXBOX360やPS3を遊んでいる人にはなじみがあるかもしれません。それぞれXBOX Live、PlayStation Networkというサービスを運営しています。これは同じゲームを遊んでいる人同士をつなげたり、スコアを競ったり、一緒に遊べるようにしたり、はたまた自分の実績(○○のボスを倒した!等)を自慢したりできるサービスです。これとほぼ同じものをiPhoneでもやる、というわけです。

機能としては友達の招待、ネットワークを介した対戦、世界ランキング、実績の公開など。Nintendo DSやPSPに対抗して、ゲームアプリをもうプッシュしているAppleですが、ネットワークと繋がっていること前提のiPhoneにはまさにぴったりのサービスになりそう。これはかなり爆発しそうな気配!iPhone OSが本当に次世代ゲームプラットフォームになる…というのもあながち嘘じゃなくなってきたかも。

7. iPhoneアプリ向け広告プラットフォーム「iAd」

ふーっ…このiAdがマルチタスクに並ぶ "本日のハイライト" であります。今日の発表の中では(私にとっては)最も強烈です。iPhoneアプリ開発者にとってあらたな希望であり、Appleにとって競合他社と戦うための新たな武器であり、そして会場でのウケが非常に "悪かった" らしい部分でもあり(@hitoshiさんのつぶやきはまったくもって正しいです)、様々な論争を巻き起こしそうな部分、でもあります。

簡単に言うと、アプリ内に簡単に広告を貼付けられるようにする、開発者向け機能です。今までは無料のソフトを作ってしまうと、収益を確保することが難しかった。なにせ "無料" ですから。そこでAppleが広告を提供することにした。そして広告によって得られた収益の60%を開発者にお支払いしますよ、というサービスがこのiAdであります。課金以外の収益の可能性が広がることはもちろん開発者にとって大歓迎すべきことです。さて、AppleがプッシュしていたiAdの優れた点、それは "インタラクティブ" 且つ "エモーショナル" な広告である。ということです。

デモを見てみましょう。ニュースアプリの下の方に細長く表示されたトイストーリー3のバナー、これがiAd。ただのバナーのように見えますが、クリックすると全画面に拡大。アプリの中でアプリが動いているような状態に。 "インタラクティブ" 且つ "エモーショナル" というだけあって、操作も非常にリッチな感じ。動画まで再生できる。デモではピクサーを始めナイキやターゲットの「リッチな広告」を見ることができました。

…ここまで読んで「あれ?」と思った人、そうです同じような体験を僕らはこれまでしょっちゅうしてきたはずです。そう、僕らはPCのWebブラウザで、Flashで作られた同様にリッチな広告を見てきたんです。

AppleはFlashを支えているのは「広告業界」だと考えた。確かにフルFlashサイトは新製品の広告サイトであることが多い。そしてご存知の通りAppleはFlashを徹底的に排除したがっている。しかもiAdはすべてHTML5で作られているとのこと。iAdに人気が集まれば、広告業界のFlashへの関心も薄まって…まさに政治ですね。さらにAppleのもう一人のライバルGoogleはモバイル広告会社AdMobを買収しようとしている…!Googleへも忘れず先制パンチです。

逆にiAdをクライアントサイドから見れば、Appleなら十分信用がおけるし、iPhoneへの広告出稿が簡単に行えるわけですから、飛びつく企業は間違いなくいるでしょう。たとえiAdという柵に囲われた広告出稿になろうとも。アプリ開発者はAppleを頼ったナショナルクライアントによる広告を自由に貼れるわけですから気分もいいでしょうね。確かに、ユーザーを始め多くの人にとっては面白みもないiAdでしょうが、広告代理店系モバイル広告を丸呑みするようなAppleの見事な戦略だと思います。

総括:Appleは賢い。iPhoneが飲み込む世界は想像以上に広かった。

マルチタスクを始めとしたユーザー向け新機能もかなり充実していて、メジャーアップデートに恥じない内容。さらにはAmazonやGoogle、Adobe、そして任天堂やソニーとも戦う武器を用意した、戦略性の高い発表でした。「携帯電話の新しいOSの発表」を大きく逸脱した内容です。この内容を「iPhone」というキャッチーな薄皮で包んで、はいと発表するAppleはもうずる賢いとしか言いようがない。

個人的には待望のマルチタスク以上にiAdがショックでした。今広告系フルFlashサイトは減少傾向にあります。「体面よりも結果の方が重要な時代」。しかしiAdはそれに逆らってリッチコンテンツをモバイル向けに提供しようとしている。Appleは「PCの歴史をモバイルは繰り返す」と考えている、というか「iPhoneが新たなWeb広告のニーズを作り出せる」と考えている。そして「iPhoneは最高のeブックリーダーで、最高のゲーム機だ」とも考えている。もちろんiPhoneが最高の携帯電話だと思っているのは言うまでもない。

ああ、なんだか頭がクラクラしてきたのはきっと寝不足のせいじゃない。Appleが、iPhone OSが飲み込み始めている世界は自分の想像を超えた広さだったからだ。

(11:00追記) すっかり書くの忘れてましたが、iPhone OS 4をインストールできるのは現状ではiPhone 3GSとiPod touch(3rd Gen.)のみ。アバウトに言うとこの1年以内に発売されたiPhone、iPod touchのみ対応…ということはつまり私のiPhone 3Gでは使えません!>< …噂の新iPhoneを待ちましょう。
(11:40追記)ごめんなさい、iPhone OS 4の機能をフルに使えるのはiPhone 3GSとiPod touch(3rd Gen.)のみ、それ以前のiPhone 3G/iPod touch(2nd Gen.)はマルチタスクなど一部の機能がが使えないだけでOSのインストールは可能とのこと。コメントでご指摘いただいたundoさんありがとうございました!何にせよ私は次のiPhoneに買い替えます!

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