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幼い私にクリエイティブを教えてくれたのはマリオだった。

2009.12.03

我が家にはファミコンがなかった。

私が生まれる半年前にファミリーコンピューターが発売されたわけですが、我が家にあったのはセガのゲーム機。人生初の敗北…とは言い過ぎか。もちろんセガのゲームにも面白いゲームはあったけど、マリオはプレイできない。以前同様のことをブログに書いたら親から「いやあれはまだセガのゲーム機しか売ってなかったからそれを買っただけの話であって、別にセガの方が安いから買ったとかじゃない」と言われたわけですが調べてみるとファミコンの発売が1983年7月、セガのやつは1984年7月に発売…って完全にファミコンの方が先に発売してんじゃんかーっ!! …まあセガのゲーム機を買ったときにはまだマリオは発売されていなかったかもしれません(発売は1985年)から、正直どっちを買っても変わんないでしょ、という状況だったんでしょうね。むしろ我が家にゲーム機があったこと自体に感謝しないといけないかもしれない。

私がマリオと対面することになるのは、小学校1年生のとき。スーパーファミコンを買ってもらった私は遂に「スーパーマリオワールド」をプレイすることになる。当然小学生ともなれば既にマリオがどんなゲームかなんて百も承知。だけど面白くて面白くてしょうがなかった。私の操作でマリオは走り、ジャンプし、アイテムを取って強くなり、マントを翻しては自由に空を飛び回る…。今も私は運動が苦手でどうしようもないやつ(いまだにコンプレックスである)だけど、それでも画面の中のマリオはとても自由なんだ。このとき私は生まれて初めて「インタラクティブ」な楽しさに触れた。遊んでいてこんなに気持ちのいいことは初めてだった。テレビやマンガのように見ているだけじゃない、自分が「参加」することでもっと楽しい体験ができる。その日から私にとって究極の娯楽は「ゲーム」になった。

マリオが優れているのは何も操作だけじゃない。マリオは何よりデザインが優れている。ご存知のようにデザインには2つの意味がある。簡単に言えば「見た目」と「設計」だ。マリオが持っているのはその両方だ。まず、スーパーマリオワールドの世界はとにかくかわいい。男の子の私ですら感じるかわいさがあの世界にはある。カラフルな色づかいとポップなキャラクター。スーパーマリオワールドはあの緑色の恐竜「ヨッシー」が初めて登場したゲームで、敵も味方もどちらもキュートだ。そして意外と大切なのが背景。山や樹木、岩、そしてマリオではおなじみのブロックに土管。アートワークとしても美しい。山の表現とか最高だと思うもん。あらゆるものに顔がついていたりするのはマリオ独特の感性だろう。みんなニコニコしてるかわいい世界に浸ることが、とても心地よく感じられた。

当時ゲームをやらない時間はマリオの絵を描いていた(ゲームは1日1時間だからね!!)。別にひげオヤジばかりを描いていたわけじゃない。私が描いていたのはゲームのコースだった。ここにブロックを置いて、ここに敵が出てくる。ここは登れるようになっていて、ここにはパワーアップするアイテムがあって…。マリオの素晴らしさで絶対に忘れてはならないのは「設計」だと思う。地形にブロックや敵、アイテム。パーツだけを見ればさほど難しい要素はない。それが絶妙に組み合わされることで面白いコースが生まれる。しかし組み立てるだけじゃうまくいかない。ユーザーの判断や動きを想像し、綿密な計算の上に組み立てられることで単純なパーツの集まりが巨大な遊び場に昇華される、これが「設計」なんだ。かくして幼い自分の想像力は「きゅうきょくのコースづくり」に費やされることとなった。想像の世界はマリオのマップとは違って果てがない、どこまでも飛んでいける世界。

多くの人にとってLEGOブロックが初めてのクリエイティブを体験させてくれるおもちゃだとおもう。でも私はブロック遊びが苦手だった(せっかく買ってもらったのにね)。私にとってはマリオこそがLEGOブロックであり、ディック・ブルーナだった。ブラウン管の中の世界は自由で、創造性に満ちあふれている。そしてコントローラーを介せばその世界に触れることすらできる。私にとってのデザイン、インタラクティブの原点は間違いなくマリオだ。

今日発売される「New スーパーマリオブラザーズ Wii」は据え置き型ゲーム機用の2Dマリオとしては久々の新作だ。少なくともスーパーマリオワールドから19年が経過している。その間ゲームは大きく変わった。もうマリオより面白いゲームなんてごまんとある。今さら。今さら何が面白いのか、そう言う人がいる。私も楽しみにしている一方で、心のどこかで疑問を感じている節もある。でもマリオはやっぱり違うんだよ。人間の想像力はフォーマットで遮られるほどちゃちじゃない。私にクリエイティブの楽しさを教えてくれたゲームだ、子どもの頃の私には思いもよらなかったような世界を見せてくれるのだろう。

マイケル・ジャクソンのことを "King of Pop" というのならば、"King of Games" は任天堂であり、王の中の王、"King of Kings" はマリオしか考えられない。彼と同じ時代に生きるることができて、しかも一緒になって遊ぶことができる。これほど光栄なことはない。

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