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これは、この国の王様になって日本を救おうとする男の物語。『東のエデン劇場版I The King of Eden』

2009.11.29 Movie

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「100億円使って日本を救えって言われたら…どうする?」

「あなたは今の日本をどう思いますか?」と聞かれれば多くの人から返ってくる答えはネガティブなものばかりだろう。格差の拡大、雇用不安、ニートの増殖、政権が変わっても続く政治不信、解決の糸口が見えない国際問題、「マスゴミ」と呼ばれるメディア…バブル崩壊「失われた10年」を経た現在でも日本を包む不安な空気。「いつかはわからないけど、日本が終了する日がきっとくる」そんな気持ちが心のどこかにある…わかった、じゃあこうしよう。

「あなたに100億円を渡す。この100億円で、自分の思う方法で日本を救え。しかし100億円渡されただけではどうしようもないだろう。あなたにコンシェルジュ機能付き携帯を渡す。あなたのどんな願いでも叶えるコンシェルジュ・JUIZ(ジュイス)だ。では、健闘を祈る」

こうして日本のある12人にケータイが渡されたところから「東のエデン」の物語は始まる。東のエデンは全11話の連続テレビアニメ。既にRaw-Fi Blogで小説版の解説をしているので詳しい説明は省略しますが、世界経済と日本の情勢、ネットの「今」を表現した社会派なアニメであり、同時に少女漫画のようなロマンスとエンターテイメント性が融合した非常に稀有な作品です。男の子だけでなく女の子も楽しめるのもこのアニメの特徴かもしれません。今ならDVD全話レンタルできるのでみんなTSUTAYAへ!!

そして今回の『東のエデン劇場版I The King of Eden』はテレビで放映された11話に繋がるストーリー。日本中に打ち込まれた60発のミサイルから日本を救った主人公・滝沢朗。日本は救われた…にも関わらず国際社会から「日本は自殺を試みた国家」と揶揄され信頼は失墜。滝沢はいつの間にか姿をくらましたものの、日本を救ったヒーローとしてニートから「AIR KING(撃墜王)」と呼ばれ、反抗の象徴として祭り上げられる…。自ら「この国の王様になる」ことをJUIZに以来した滝沢の行方は。日本の未来は。100億円ゲームことセレソンゲームの勝者は。そして「王様になる」とはどういうことなのか…。先に言っておきますが『劇場版I』で提示されるのは結末へ向かうためのヒントだけです。結末は『劇場版II』で…。

さてこのエントリーでネタバレするわけにもいかず、かといって何も論じないわけにもいきませんから、この作品がテーマに扱っているものをピックアップしていくことにしましょう。

本当に魅力的な人に「※ただしイケメンに限る」は関係ないよな(悔しいけど…)

この作品の面白いところは主人公・滝沢朗の持つ「カリスマ的魅力」を100億円ゲームの攻防、そしてもう一人の主人公・森美 咲との恋愛模様の中で描いているところであります。滝沢は「王様になる」と言ってのけるほどの人物ですから少なくとも普通の人間ではない、ある魅力を持った人と言えるでしょう。人間の魅力というのは容姿であったり、ステータスであったり、お金であったり。で、滝沢の持っている魅力とは何かといえば「人柄」なんですね。全裸に拳銃という最低な出会い方をした滝沢ですが、あっという間に咲の信頼を得てしまいます。疑いの目を持った携帯サイト・東のエデンの代表である平沢や偏屈プログラマー板津、そして敵であるはずのセレソンすらも惹き付けてしまう彼の人柄の良さは、やはり咲とのやり取りの中に多く見られます。劇中にもしばしば二人を巡る少女マンガ的なシーンが展開されますが、これが男の私もキュンキュンしちゃうわけ。滝沢の人柄の良さというのは "心遣い" という言葉に集約されるでしょう。やさしさ、ポジティブさ、いたわり…いやあ私が女の子だったら絶対惚れるわ〜。てか男の今でも惚れるわ〜(…いや、変な意味じゃないですからね)。二人のロマンスは硬派なこのアニメの中のエンターテイメント的役割でもありますが、滝沢朗という人物の説得力を上げる、効果的なシーンでもあるのです。

ニート、それは反抗と安定の狭間で戦い続ける人種。

このアニメがリアルでありながら普通のアニメやドラマでは取り上げられない点、それは「ニートの肯定」です。社会的にもニートは邪魔者としてしか扱われることはありませんでした。しかし彼らの怠惰な行動は図らずも「上がりを決め込んだ勝手な年配の世代に対する反抗」になのではないか、このアニメはこう切り込みます。己の保身しか頭にない上の世代に従わず、ニートであり続けること。これこそが「日本を改革する方法の一つ」というわけですね。しかしニートであり続ける、というのはそう楽なことではありません。多くのニートは親というパトロンが居なくなれば "失業" してしまいます。"ニートの楽園を作る" と息巻いていた携帯サイト・東のエデンのスタッフ一同も、起業し事業を大きくしていく中で、自分たちが嫌悪していた「上に居座る大人たち」に近づいていることに気がついてしまいます。この『劇場版I』でも印象的なのは、凄腕ニートプログラマーである板津がエデンスタッフに向かって「うまいものを食おうとしたらニートじゃなくなる、ニートはカップラーメンを食って生きてるもんだ!」と力説するシーン。安定と、反抗。どちらにも寄り切らず、フラフラしながら生きるニートであり続けることは、果たして可能なのだろうか…?可能だとすればニートがニートとして生活しながら、何らかの "生産活動" が行われることなのでしょうが…。

やがて見えてくる「この国の王様」の正体。

(ここからちょっとテレビ版ネタばれ注意)

この物語の結末はまだわかりません。ただし薄らと終着点は見えています。テレビ版のエピソードでは、滝沢は60発のミサイルを撃ち落とす過程で、ノブレス携帯、そしてJUIZの力を最大限に引き出す方法を見つけています。2万人のニートの発想をネットを使い収斂し、さらに選別された事案を、JUIZの力で実行する。これぞ "究極の執政"。つまりこれを拡大したものを恒久的に続ける仕組みを完成させること、それがおそらく滝沢が考える「この国の王様になること」なのではないか…。では具体的な王様の姿とは一体何か。本当に王様になることは可能なのか。それは『劇場版I The King of Eden』、そして続く『劇場版II Paradaise Lost』で明らかになることでしょう。

「東のエデン」は人々の中から希望の光が消え、諦めの空気が支配した「諦観のゼロ年代」の終わりに相応しい作品です。そして『劇場版II』と共に新しく始まる「10年代」はどんな時代になるのでしょうか。再び "失われて" しまうのか、それとも。神山監督がどんな回答を見せてくれるのか、楽しみでなりません。

この作品に頻出する言葉「ノブレス・オブリージュ」は「持てるものの義務」という意味です。義務を負うのは何も王様だけではありません。人間一人一人が他の人にはない力を持っているんですから、誰しも「持てるものの義務」を負っているはずです。日本を救うのは一人一人の力が協力し、時にぶつかり合うことで生まれるエネルギーではないでしょうか。…それじゃあやっぱり最後はお約束のやつを。

"ノブレス・オブリージュ。今後も救世主たらんことを。"

【コンタックスの名レンズを】マイクロフォーサーズ用Gマウントアダプター登場【m4/3で使おう】

2009.11.16 Gadget

GXRもいいですが、今一番勢いがあるのはマイクロフォーサーズでしょう。ミラーが無いためボディサイズを小型にすることができ、さらにライカMマウントを始め様々なレンズをアダプタを介して装着できる夢の規格。で会社の人がマイクロフォーサーズに関する面白いものを持ってきてました。

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ボディはおなじみPanasonic DMC-GF1。そしてそれに装着されている銀色のレンズは…あのPlanar 45mm F2、CONTAX Gマウントのレンズ!! 会社の人が自慢して見せてくれたのはなんとGマウントのマイクロフォーサーズ用マウントアダプタでした。話によると「知り合いの会社の人が頑張って作ってみたらしい」「生産したのは今のところ10個」「反響によっては広く販売することもある」とのことで、現在日本にこの製品は写真に写っているものが唯一らしい(ちなみに写真に写ってる人は持ち主じゃないです、はい)

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Gマウントと言えばレンジファインダーなのにオートフォーカスが使える、というなかなかとんでもない規格であります。同じくレンジファインダー用レンズマウントであるMマウントやLマウントが早くからマイクロフォーサーズ用のマウントアダプタが登場したのに比べ、Gマウントが一向に対応する気配がなかったのはそのフォーカスの機構にあります。カメラボディからフォーカスを調整する機構が仇となって手動でフォーカスをあわせることが難しい。そこでこのマウントアダプターでは小さなダイヤルを内蔵。この小さなダイヤルをくりくり回すことでフォーカッシングを実現したわけですね。ちなみに日本ではマウントアダプタを自作している人もいます(解決法は同じですね)。

まあそもそもなんでこんな苦労して純正じゃないレンズを使うのかという話ですが、それだけGマウントレンズが性能もデザインも優れたレンズだからです。そして京セラがCONTAXの生産を中止した現在、中古市場に大量のレンズが使い手もなく漂っている状態。だから中古価格が安い(現在45mmが1〜1.5万程度?)。いいものが安く手に入るならこれを再利用しない手はない、というわけですね。

で、実際に使ってみてどうなのよ、というとこれが想像以上使える!! フォーカス用のダイヤルが小さいので一気にフォーカスを変えるときは面倒ですが、細かい調整は圧倒的に便利。GF1で使用しましたが、GF1の液晶が非常に見やすいためフォーカッシングが更にしやすく感じました。Planar 45mm F2とSonnar 90mm F2.8を試しに使わせてもらいましたが、個人的には45mmのほうが好感触でした。Gマウントのレンズでもちなみにマイクロフォーサーズでは使用できないものもあります。35mm、45mm、90mmが対象のようです(更新:28mmもツメを切れば使えるっぽい)。

確かにGマウントレンズの見た目なら小型のGF1やクラシカルな外観のE-P2にもハマりますね(特にシルバーのE-P2は合いそう)。…マイクロフォーサーズを使っている人にとっては意外とリアルなレンズの選択肢になりそう。私はかなりアリだと思います。

…っと、一通り書いて検索し直したらこのマウントアダプタの本家らしいサイトにヒット。10800円で販売中。予約殺到だそうですよ。アダプタの確保も重要ですが早めにレンズの方も確保しないとなくなっちゃうかも、よ…!?

ケータイもカメラもクレイジーな奴が世界を変える。「Ricoh GXR」

2009.11.12 Gadget

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先日リコーからとんでもないカメラが発表されました。名前は「GXR」。見た目は芸能人御用達の高級コンパクトデジカメ「GR」シリーズに似ていますが、このカメラはレンズ・画像素子・画像処理エンジンを一セットにした「カメラユニット」が丸ごと取り替えられるカメラなのです。つまりデジカメの描写に関する部分をすべて取り替えることができるというわけ。このサイズでこんな機構を備えたカメラはおそらく史上初。ご存知の通りレンズだけが交換できるカメラは星の数ほどあります。それはフィルムカメラの時代は写真の写りかたを決定するのがレンズとフィルムだけだったため、レンズだけを変えられれば便利だろう、という話だったわけです。デジタルの時代になっても、電子部品はあっという間に陳腐化してしまいますが、レンズのような光学部品は性能が大きく変わることがない。レンズはずっと使えるだろう、というのが一般的な考え方でした。しかしGXRはその陳腐化してしまう部品と長持ちする部品が合体してしまっている。「…もったいなくないか?つか意味なくないか?どうせなら最初から複数台のカメラもってればいいんじゃないか?」そんな声も聞こえます。合体機構のせいでGRのコンパクトさは減退、カメラユニットだってレンズだけを買うよりは確実に "贅沢" なものです。どうもネガティブなところばかりが目につきます。

…GXRの存在意義ってあるの?

さて、唐突ですが今現在「最高のカメラ」とは何でしょう。カメラとしての性能を追求したD3xだろうか。フルサイズCMOSでフルHD撮影を可能にしたEOS 5D Mark IIだろうか。世界最小フルサイズ・伝統のLeicaレンズを使えるM9か。はたまた新しい規格の強みを活かした小型一眼・E-P1か…。カメラを評価する軸というのはたくさんでしょうし、これこそ一番を決めるのは難しいことであります。が敢えて私が挙げるものがあるとすればこれしかありません。

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iPhoneです。「いやそれカメラじゃねーから!!」と怒る人もいるでしょう。3GSになった今でこそ300万画素、オートフォーカスとそれなりの近接撮影性能を得るに至りましたが、それでもカメラとしては貧弱な部類に入ります。一般的なデジカメと比較するのはナンセンスなほどです。では何が最高なのか。それはアプリケーションによってあらゆる可能性が与えられているからです。

現在AppStoreでダウンロードできる写真に関するアプリは1700個弱。グラビア写真アプリ等を除いても、最低でも1000以上のアプリがあると思っていいでしょう。Ultimate Cameraは撮影の補助をしてくれる。我らがfladdict先生ToyCameraQuadCameraはトイカメラ独特の雰囲気をデジタルに再現してくれる。そしてTiltShit Generatorは高いレンズを買わずとも手軽にティルトシフト写真が楽しめる。またペットを音で引きつけて撮りやすくする猫カメラや犬カメラなんてものもあった。撮影が終わればレタッチだ。レタッチアプリも数えきれないほどのラインナップがある。日本では使えないがiPhone版Adobe Photoshopもある。女の子だったらプリクラアプリを使うのもいい。そして最後に写真の公開。Flickrアプリや各種SNSアプリもあるので、いつでもどこでも写真を投稿することもできる。ネットに常時つながるiPhoneならでは芸当でしょう。iPhoneほどの自由度、柔軟性、そして可能性を持ったカメラはおそらく無いでしょう。アプリによって如何様にも変身するカメラ。これ以上面白いカメラは無いと私は思います。

GXRはiPhoneがソフトでやっていたことをハードで対応しようとしているカメラ、と言えます。将来フルサイズの画像素子が入ったカメラユニットや、ハイスピード撮影・3D撮影に対応したカメラユニットが登場する可能性もあるでしょう。交換できるユニット部分はレンズ以外にもプリンタやプロジェクタのようなものも視野に入れていると言います。今までのシステムカメラにはなかった可能性をGXRは秘めています。もう今やカメラは写真を撮るためだけの道具じゃない。GXRのシステムには、今は正確に伝えられない、もっともっと面白い可能性があるんじゃないだろうか…

このカメラが売れるかどうかはわかりません。マーケティングとして正しいかどうか、わかりません。写真・カメラ文化としてプラスになるかどうか、わかりません。消費者にとって価値があるのか、わかりません。ただここにあるのは誰もやらなかったことをリコーが実現したという事実だけです。多くの人がこのチャレンジを「無意味だ、クレイジーだ」と嘲笑するでしょう。私はお金持ちでないのでこれ以上カメラを買うのは難しい状況ですが、それでもこのチャレンジは勝手ながら応援したい。新しいことがなければつまらないじゃないですか。新しさの中にこそ楽しさがある、未来がある。電子立国・日本に生まれた男子としてそう思うのです。

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  • AKIRAFUKUOKA(福岡 陽)
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