一介のFlash制作者がミラノコレクションでのファッションショーで映像を投影するまでの全記録
何を話すべきか、どこから話すべきか迷いますが、まず9/29に行われたANTEPRIMAミラノコレクションファッションショー、無事終了いたしました。会場で観てくださった方、ANTEPRIMAの中継ページから観ていただいた方、そしてもちろんスタッフの皆様に深く感謝せずには居れません。私はたかだか映像を映し出していた人間に過ぎないかもしれませんが、素敵なショーになってよかったと思っています。
背景のゆらゆらしている光の帯のような映像、これが私の担当であります。ビデオだとちょっと証明の明かりにとられて見にくくなってますが、実際にはもっとはっきりと写っていました。こんな具合。

この「光の波」はディスカッションの中から生まれたもので、煙のような、波のような、よくわからないふわふわしたものの映像、ということで制作がスタート。元のイメージはショーの招待状にも使われてるこんなイメージ。
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で、このイメージをリアルタイムに再現、ショーの進行によって姿や形、色を変えていく、というのが課題でした。ミラノへ発つまでおよそ2週間。最初はQuartz Comporserでの制作を考えたものの頓挫、Processingでの制作に切り替えほぼ完成まで作り上げましたが、最後のギリギリになって処理速度のバッファが欲しくなりFlashで書き直すことに。FrocessingというFlash用の強力なライブラリのお陰で一晩で移植することができました(こんなちょっとのコード移植に一晩もかけるなと怒られそうですが…)。Frocessing制作者のnatsuさんに深く深く感謝しつつ、ついに本番当日を迎えることとなりました。

映像、といっても今回の映像は再生ボタンを押せば勝手にやってくれるものではありません。前述の通りショーの展開と同時に色や形、大きさ、動きの速さなどを的確にコントロールしていかなければなりません。映像の再生はMacBook Pro、そして映像のコントロールはKORGのnanoKontrollで行います。nanoKontrollのほぼすべてのツマミ、スライダー、ボタンにパラメーターやプリセットの値を登録して本番に臨みました。コントロールする、といってもランダムの要素を大きく取り入れてあるため、意外と思い通りに動かないのが今回の映像の特徴です。ある程度の色や大きさの方向性を定めて後はなるようになれ。やはりライブである以上は意外性がないと面白くないですからね。ただ決めのシーンではしっかりと動きがはまるように練習しました。特に "運命な感じ" のエレクトロがかかるクライマックスのシーンですね。
さて、映像の準備が整ったところで実際にステージに投影しなければなりません。で、実はこのステージよく見ていただくとわかると思うんですが、黒いんです。映画館でもなんでも映像を投影する場所は真っ白じゃないときれいに写りません。初めて現場の説明を日本で受けたとき「いや映像投影するんだからそこは白じゃないとまずいんじゃないんですか!?!?」とあわてて聞き直してしまったんですが、弊社社長の判断は「いや黒で」。いやでもそれじゃ写んないでしょJK!!と思った時に社長から帰ってきた答えは「高輝度のプロジェクターを使えばいけるんじゃない?」とのあっさりした答え。

実際今回のショーでは壁面から数十メートルの距離から、20,000ルーメンのプロジェクターを2台を使い、照射される映像をぴったり合わせることで40,000ルーメンの高輝度プロジェクターを再現してしまおう!! というそれなんてヤシマ作戦な展開に。前日準備ではケーブルの分配がうまくいかず危うく1台のプロジェクターでの投影になるところでしたが、現地映像スタッフの方の尽力で無事2台で投影成功。無事に自分の仕事を満了することができました。2台のプロジェクターが見事に黒い壁面に光の帯を投影してくれました。ガラスのステージにも反射して非常に美しい雰囲気に。黒いステージはショーのイメージにも合っていましたし、投影した光の「映像臭さ」が見事に抜けてとけ込んでいました。自分でいうのも何ですが、大成功、だったと思います。
一介のFlash制作者もとい会社員の身ではありますが、ANTEPRIMAのミラノコレクションファッションショーという場所で、自分の作った物が投影できたというのは本当に貴重な体験でした(行くまであんだけいやがってたんですけどね)。こういった仕事ができるのもFICCの懐の深さでしょうか。まあんまりこういう仕事があるWeb会社っていうのはないですよねw そしてショーが終わった瞬間に一番最初に出てきたのは、なんというか家族や友達や会社の人へやら、いろんな人への感謝の気持ちだったかなぁと思います。普段生意気なことに感謝の気持ちを表してないからね、自分。本当にありがとうございました。
…とここで終わらないんです。今回の自分のミッションは映像の投影ともう一つ、Ustream(正確にはWatershed)を使ったネットでのリアルタイム映像配信でした。現場のカメラをPCにつなぎ、WiMAXの高速無線回線でUstreamサーバーに映像を送信するという算段です。ちなみにファッションショーの映像をネットで生中継したメゾンはANTEPRIMAが初めて、とのこと。こりゃ任務重大。
事前に接続方法もすべて準備していたんですが、会社から持って行ったVAIO(ちなみにOSはVista)がLANを認識せずネット接続不可、一時パニック状態に。こればかりは仕方がないので中継用だけに準備していたVAIOを鈴木さん手持ちのMacBook Proにチェンジ。これでなんとかなるだろうと思ったら大間違いで、今度はカメラとPCを接続していたFireWireケーブルの型が合わない!! そのとき既にショー前日の深夜23時。緊急にミラノのPC系ショップを検索し、午前9時から開いているショップを発見。結局本番直前に社長と鈴木さんにFireWireケーブルを買ってきてもらうことに…本当にスミマセン。

でこれが戦利品のFireWireケーブル。これで無事にMacBook Proとハイビジョンカメラをつなげる!!と思った矢先に偶然横にいた日本人カメラマンの人がぼそっと「これCore2Duoの2.5GHzとかでしょ、これじゃパワー不足でハイビジョン動画を配信用にコンバートできないんじゃないの普通?」………………………………って、やってみなきゃわかんないでしょうがーーーー!あーもう知らないんだからっ!刺す!はい写った!今カメラの映像写ったよ!
…といろいろありましたが無事ショーの映像をリアルタイムで皆さんに届けることができました。たくさんの方に観ていただけたけたようで、本当に中継がうまくいってよかったと胸を撫で下ろしました。今はまだUstreamの限界で、あまり鮮明な映像がお届けできなかったことが残念でなりませんが、今後もネットを使った取り組みができると楽しいなと思ってます。ライブの緊張感を久々に味わいましたが、やっぱりライブだからこその楽しさがあるし、それを伝えられるようにすることもこれからの仕事の一つになっていくのでしょう。