Twitterとは時に「アメトーーク!」である - auの事例から企業のイベント時のTwitter利用を考える
2009.10.26 Text
今更このトッピックを取り上げるのもどうかという話ですが、先週19日に行われたauの2009年秋冬モデルの発表会でTwitterを利用した現場の実況中継を行いました。auが用いたアカウントは@au_official。で、結果はというと…こちらのtake-itさんのブログ記事にまとめられていますが、あまり思わしい結果ではなかったように私も感じました。いやこれが成功かどうかは、実際にauがこのTwitter利用に関して打ち出した「目標」がわからない限りなんとも言えません。Twitterのタイムライン上では確かに盛り上がりませんでしたが、少なくとも現時点でフォロワーが5,000人を突破しています。仮にフォロワーの数が「目標」であればおそらく成功と言えるでしょう。なのでケチのつけようがないわけですが、多分皆さんの中には釈然としない気持ちが残っているでしょう。せっかく生のイベントだったんだからもっと盛り上がらなかったのか?と。
ですので今回は企業のイベントにおけるTwitter利用について考えることにします。Twitterでの成果をどの数値目標で測るかによって「成功」は大きく変わってきます。先ほどの通りフォロワー数なのか、RT数なのか、つぶやきないのリンクから本サイトへのアクセス回数なのか…それぞれのケースを考えるのは難しいので、とりあえず「タイムライン上での盛り上がり」(ハッシュタグ、@、RT付き発言の数)を基準に考えたいと思います。このタイプの「成功」なら企業もTwitterユーザーもわかりやすいでしょう。
企業イベント時のTwitterは「ひな壇トーク」と化す
Twitter上では普段様々な人が様々な方向に向けてつぶやいているため、非常に散漫なおしゃべりがまもまりもなく起こっている状態です。しかし企業がイベントを行う際にTwitterを利用する場合は状況が一変します。企業アカウント(auの場合は@au_official)が情報の主導権を握ります。そしてその情報をフォロワーに流す、というまとまった方向の流れができます。イメージとしてはテレビのひな壇トーク番組が近いでしょう。「アメトーーク!」が一番イメージしやすいでしょうか。司会(雨上がり決死隊のお二人)が企業アカウント、そしてひな壇の芸人の皆さんがフォロワーです。司会が企画趣旨、トークテーマを定義し、番組の進行を進める。それに対してリアクションやトークを膨らませる役目を果たすのがひな壇芸人の皆さんです。こうすると自ずと盛り上がりそうな方向が見えてきます。少なくとも司会よりもひな壇の人たちの方が重要だということはわかりますよね。
司会の役割は適切なネタフリです。ひな壇の人たちがリアクションしやすいネタ、話を広げやすいネタをどんどん投下します。こんな写真じゃネタにできませんが(どこがどう最薄なんだかさっぱり)、こういう写真ならネタにできそうです(お姉さんが云々)。ネタをコントロールする特権は司会者にあるわけですから、ウケが狙えて反応しやすいネタ、そして伝えたい情報(製品情報等)を織り込んでいくこともできます。
適切なネタフリができて、リアクションも帰ってきた。しかしここで終わらせてはいけません。「トーク」である以上ひな壇の人たちのリアクションに対して、司会も返さなければいけないでしょう。さすがのさんまさんも相手の話を完全無視することはありませんからね。auの場合もそこが「寂しい、もったいない」ととられた部分が大きかったようです。盛り上げるつもりならば少なくともRT、できることならば@付きで返信してあげると実況につきあってくれているフォロワーのモチベーションも上がるものです。
司会をサポートする「ツッチー」役のアカウントは必要不可欠
しかしそんなこといっても全然フォロワーからのリアクションがなかったらどうするの?成立しなくない?と言うかもしれません。確かに。どんなに司会をがんばっても、ひな壇芸人たちもがんばってくれなければ盛り上がりません。例えばアメトーーク!では多くの場合「抑えの芸人さん」が登場します。品川さんや土田さんといったひな壇でも確実に活躍してくれる人です。こういう人がいるお陰で挑戦的なトークテーマにも安心してチャレンジすることができるわけですね。ですからTwitter上で発言力がある人に対して企業が前もってアプローチしておくことも必要な戦略です。どこの誰かわからないフォロワーと@付きで会話するより企業側も安心ですし、適切な絡みを期待することもできるでしょう。
しかしただ単にフォロワー数が多い有名人に頼めばいい、というものでもないでしょう。ガンダムの話は土田さんに、エヴァの話はオリラジのあっちゃんに、パナソニックの話は品川さんに振るのが妥当です。例えばauの場合ならば携帯や通信技術に詳しい方(@nobiさんや技術系ライターさん)や、ファッション性がある携帯ならば、有力な女性Twittererにご協力を仰ぐことが考えられます。製品によっては協力してもらうアカウントによってアプローチできるターゲットをうまく絞り込むこともできるでしょう。また、メーカーさんや販売店の方のアカウントがあれば、会社を超えた協力をお願いするのも手かもしれません(事前に十分な準備が必要ですが)。うまくすれば話題作りにもなって一挙両得…皮算用ですが。
「ぶっちゃける力」
タイムライン上での適切なコミュニケーションさえあれば、少なくともイベント中継としては成功を収めることができるはずです。しかしまだ不安ですか?必ずしも面白い話が振れるとは限らない。その瞬間に面白いことを言えるとも限らない。確かにその通りです。どういったネタを投下するか、事前準備ももちろん大切ですが、フォロワーの皆さんはただ単にインフォメーションが受け取りたいわけではないでしょう。Twitter上での人と人とのふれあいを楽しんでいる人も多いと思います。私がTwitterに中毒的にハマっているのもそういった「ぬくもり」が効いているせいでしょう。いやもう正直に言いますけど、寂しいんですよ(笑)。寂しくてしょうがないからTwitterに向かっている部分もオーバーな話あると思うんですよ。孤独な老人のような言いようですけどね。
そうです、生身の人間に触れてる感じが欲しいんです。ただ仕事の都合でTwitterをやっているアカウントからはなかなか出てこない雰囲気。だからフォロワーが求めているのは「素のあなたはどう思ってるの?」という問いに対する答え、はっきり言えば「ぶっちゃけ」が欲しい。これはあの島田紳助さんがよく使う手法です。はてなでテレビの土踏まずさんのエントリ『島田紳助は「はっきり言うで」が好き過ぎる』にまとまっています。「腹を割って話すという態度を見せること」によって、普通のことでも重要な話として受け取らせることができるし、真摯な態度で話してくれるように感じることができるからです(本当の腹の内は別にしても、ね)。私も早速上の段落で使ってみましたが、いかがでしたか?
企業のTwitter利用は一日にして成らず
ここまでいろいろ話してきましたが、これだけやるの結構大変でしょ。実際には中継に使うハッシュタグをフォロワーに実際に使わせて浸透させる必要もあります。@au_officialの場合は5日前から既に告知していたこと、運良く(?)騒動になったため逆に#au_official2009というハッシュタグが有名になったことがあり、周知の部分では結果的にうまくいきました。ハッシュタグはユーザーにわざわざ使ってもらうものなので、いかに浸透させるかが鍵になります。ハッシュタグ付きの発言を一覧できるページをオフィシャルで作ったり、そこからハッシュタグ付きで簡単に発言できるフォームを用意する必要も出てくるでしょう。更にこれらのことを生で処理していかなければならない…まず一人では無理でしょう。中継用に1人、フォロワーのつぶやきに対する返信用に1人、少なくとも必要です。
そんなに力をかけられない…というのであればブロガーイベントのようにTwitterユーザーに中継をお願いする、という手もありますが、結局ある程度のコントロールが必要ですし、ある程度自社にネームバリューがあるのであればそれを活かさないのはもったいないと言えましょう。「auがTwitterに!!」というのはニュース性がありますからね。
Twitterをイベントに利用しようとしていた企業の担当者の方はそろそろ気が重くなってきたかもしれませんね。Twitterを通して何を達成するか、その目標が大切です。アメトーーク!は視聴率が取れることが一つの目標でしょう。では企業がTwitterで達成したい目標とは何でしょうか。それを定義するところから、企業の本格的なTwitter利用が始まるのでしょう。
そして最後に。今回のauのアカウントで個人的に考えるもっとも大きな問題点、というかもったいない点、それはアカウントの継続利用をしていないということです。この@au_officialがつぶやくだけで5000人を超えるフォロワーに言葉を届けることができます。たかが5000人、されど5000人。この力に気がつかなければ、この力を活用することができなければ企業のTwitter利用、はっきり言って意味がないと私は思います。















