E-P1とK-7、目指す理想のカメラ像が違うと結果もこんなに違う。
もし仮に私が無職になって「あれ、フクオカさんって確か無職ですよね?」と聞かれたとしても「いいえ僕はエヴァンジェリストですから(キリッ」と答えたいフクオカですどうぞよろしく。「Apple=ブランド=宗教」のお話はまだまだできそうですが、今日はカメラのお話です。相変わらず趣味性の強い話が続きますが今日も元気にいきたいと思います。
使っていて恥ずかしくない、煩わしくない、小さい一眼。OLYMPUS PEN E-P1

デジカメはずいぶん前から普遍的なアイテムになりましたが、最近ではデジタル一眼レフもごくごく当たり前のものになりました。デジタル一眼レフのいいところは、速く、きれいに撮影できること、そしてレンズや周辺機器を付け替えることで自由に撮影ができることです。もちろんいいところばかりではありません。大きい、重い、かさばる、見た目がごつい…特に一眼レフを使ってると「本気で撮ってる感じ」が出ちゃって、なんか気恥ずかしい時ってありますよね。物理的・心理的な意味で一眼レフは「気軽」とは言えない存在のような気がします。よくレストランでブログにアップするためか、ケータイやコンパクトデジカメで食事を撮影している人を見かけますが、一眼レフで撮っている人はなかなか見かけませんもんね。すごい便利、だけど気が重い、デジタル一眼レフにそういう感情を持っている人は多いんじゃないでしょうか。
「PEN E-P1」のポイントは2つ。「とにかく小さい」と「重く見えない」の2点です。コンパクトカメラには及ばないものの、従来の一眼に比べてグッと小さくてフラットなボディ。小さなレンズをつければ、なるほど「ポケットに入る一眼」というのもあながち嘘じゃない気がしてきます(ポケットに入るノートパソコンがあるくらいですから…)。そして小さくなった分デザインに自由度がでました。オリンパスが1963年に発売した「PEN F」というクラシックなカメラをイメージしたデザイン。私個人としてはせっかく新しいカメラなんだからノスタルジーにあまり捕われすぎない方がいいのでは…と思っているのですが、若い人の中でもクラシックなカメラは「かわいい」「かっこいい」と評価が高いことが多いですから、一眼デジタルっぽくないカメラを目指したこのカメラにはぴったりのテーマだったのかもしれません。一眼と言えば黒色のボディがほとんどですが、あえて銀と白にしたのも周囲に威圧感を与えないためのように感じます。このカメラを女の子が使っている場面を想像しても違和感ないですよね。
PEN E-P1は「気軽に写真を撮れるような一眼」を目指した結果、ファインダーもない、ストロボもない、極めてシンプルなカメラになりました。ある人は性能よりもサイズや見た目を優先した、気骨のないカメラだと言うかもしれません。それでも写真を撮る際の「障壁」がなくなるのであれば価値があることだと思います。大きさが、スタイリングが、その道具の扱い方をも変えてしまう。E-P1は「撮影者の気負い」と戦うために最新のテクノロジーを用いた、全く新しいコンセプトのカメラと言えるでしょう。
大切なのは一度きりのチャンスで後悔しない撮影ができること。PENTAX K-7

一方、PENTAXが満を持して送り出す「初級機のボディサイズに中級機、ないしそれ以上の機能を盛り込んだカメラ」、それがK-7。カメラのランクとしては中級機に属しているため、初〜中級機(?)にあたるE-P1と一概に比較できるものではない、が、E-P1が一部の機能を犠牲にしても、撮影者の敷居を下げること、一眼のカジュアル化に注力したのに対して、K-7は小さなカメラの中にどこまでカメラの機能を詰め込めるかに懸けている。K-7は開発者の人が「少なくとも世の中のトレンドになっている要素は、すべて入れておきたい。ペンタックスを選んだユーザーが、何か特定の機能がないからと卑屈にならないように」と言う通りとんでもなく盛りだくさんなカメラになっていて、その全てをここに書くのは難しいんですが、もっとも特徴的なことは「ファインダー視野率100%」であること。つまり「ファインダーで見たままの光景がそのまま写真に撮れる」んです。いや、それカメラなんだから当然じゃん、と思うかもしれませんが意外とこれすごいことなんです。多くの一眼レフカメラの視野率はおよそ95%。実は撮影される画像の四辺がおよそ5%、ファインダーでは見えていないんです(実際にカメラで撮影してよく見てみるとわかると思います)。たかが5%。されど5%。一眼レフを使う人はフレーミングにこだわる人が多いでしょうが、その見えない5%の領域に邪魔なものが写っててショック、ということもよく起こります。K-7を一言で表すとすれば「小さなストレスをできるだけなくしたカメラ」です。電子水準器(カメラがまっすぐになってるかチェックしてくれる)機能や、もし仮に傾いていたら強制的に傾きを直してくれる機能、防塵防滴機構でちょっとの雨や埃も気にしないで撮影できる、モードダイヤルのロック、シンプルで素早く変更可能な操作系、更には限りなく小さく抑えられたシャッター音まで…撮影中に起こる小さなイライラやストレスを小さくする施策が至る所に見受けられます。人生一度きり、撮影する瞬間も常に一度きりです。その貴重な時間を無駄にしないこと。そして見たままの景色が撮影できること。PENTAXの人たちが理想とするカメラの形がK-7からありありと伝わってくるのです。
テクノロジーが生んだ2つの小型化・2つの未来
ここでE-P1の方がいいカメラだ、いやいやK-7の方がいいカメラだ、なんて言うのはナンセンスです。両者の目標は明らかに異なっています。私個人的には一眼は覗いて使う、という気持ちが強いためK-7を選びますが、E-P1の小型化・高性能化が更に進めば、あのサイズにしてファインダーを内蔵することもできるでしょう。E-P1から派生してもっと新しい形の、未来の一眼が登場することを期待しています。これだけ目指すところがはっきりしているカメラですから、それがユーザーの欲しているカメラ像とマッチすればヒット商品になることは間違いないでしょう。現にK-7は予約で一杯、E-P1も近年のオリンパスのカメラの中でも稀に見る大きさの反響が巻き起こっています。消費者の思い描く理想と、メーカーの提示する理想が一致したときにようやくヒットする、当たり前のことのようですが2つのカメラ共に改めてそれを実感させる製品でありました。