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「ものを売る」責任を請け負うのはウェブだけじゃない。

2009.01.29

「Cam with me」はハンディカムを売るためのサイト?

SONY Handycamスペシャルサイト「Cam with me」。女の子の親となって、誕生の瞬間から成長し、大人になっていくまでをハンディカムで撮影するコンテンツです。ウェブ界隈では「感動した」「親の気持ちになって泣いてしまった」という感じでかなり反響があり、ABMはてブでは続々コメントが付きました。かくいう私もグッとキてしまったクチです。彼氏が出てきたときにはぶん殴ってやろうかと思いましたからねw 企画の発想やブログを通した露出のさせ方から見るにこれはまさに「Web発信のCM」であり、遂にCMを発信する舞台がTVからWebに移り始めるのかもしれないなーという雰囲気を感じました。

一方、ブログではこんな声も見かけました。「いいとは思うけど、これハンディカムが直接売れることとは関係なくない?」なるほど、その通りかもしれません。この発言をした人の気持ちとしては、こういった壮大なコンテンツを作るよりも、検索エンジンなどからハンディカムに興味を持っているお客さんを集める等の施策のほうが大切なのでは?ということを言いたかったようです。もちろんSONYさんは会社ですからものを売ることが第一。そもそもこのコンテンツには具体的な商品情報は出てきません。当然商品に結びつけたほうが販売につながるはず。じゃあこのコンテンツは意味がないのか?当然そんなことはないと思います。おそらくこのコンテンツの目的は視聴者に「ハンディカムいいかも…いつか買う時はハンディカム買うことにしよう!!」という気持ちを芽生えさせることです。自分がパパ・ママになったら、娘が成長してもずっとそばに置いておける、というハンディカムのブランドイメージを高めるための広告ですね。

ドキュメント:ハンディカムが売れるまで

そもそもハンディカムがお客さんに「売れる」までにはどのようなステップを踏むことになるでしょうか。まずSONYさんはハンディカムを作ります。「商品開発」です。お客さんが欲しいと思えるような商品でなければなかなか売れないでしょう。

さて、新機能満載のハンディカムが完成しました。新しいハンディカムができたことをお客さんに知らせる必要があります。「広報活動」のスタートです。テレビCMを作ったり、Webサイトにバナーを出したりして、新しいハンディカムのここがいい、と多くの人に知ってもらうきっかけを作ります。

そして、あぁ新しいハンディカムが出たのね、ということでインターネットや雑誌で「購入検討」をします。具体的に新しいハンディカムのどこがいいのか。他の商品に優れたものはないかここで比較します。ここは我々が得意なWebサイトの出番です。この際に今回のCam with meも目に触れるかもしれませんね。

じゃあ、ハンディカム買おうか、ということになると遂に電気屋さんへいってお買い物。「販売店での購入」まで来ましたがまだ油断はできません。例えばお店の店員さんに「ハンディカムよりもCanonのアイビスのほうがいいんです!!」なんて言われたら?よくお店まで来て本来買おうとしていたものとは違うものを買ってしまうことがありますよね。逆に本屋さんで初めて見た本の横に内容を紹介するPOPが付いていて、つい手に取ってしまった、ということも。だいぶ前の記事ですがSONYさんは店頭用ポップを制作して店舗に配布しています。液晶テレビBRAVIAも売り場で映えるように彩度が高い設定になっている、なんてのもよく聞く話です。さて、実物見たけどやっぱりハンディカムがいいね、ということでようやく商品が「売れた」わけです。

「商品開発」「広報活動」「購入検討」「販売店での購入」…これだけのステップがありましたが、さてどれが一番重要なステップでしょうか?どれが、というよりもどのステップもすべて大切だと思います。どれが一つ欠けても購入へのバトンは途切れてしまいます。近年ウェブ依存度が高まり、デザインの優れた見やすいサイトがあれば、検索エンジン対策されたサイトがあれば売れるようになる、と錯覚してしまいがちですが、サイトが良ければ必ずしも売れるとは限りません。かといってしっかり機能するサイトがなければせっかく繋いだバトンを落としてしまうことになりかねません。すべての施策が成功して初めて商品が「売れる」のです(※)

ウェブサイトの効果は目的で決まる

今日もtwitter上で話題になったからこのブログに書いているんですが、よくFlashバリバリのサイトは本当に効果があるのか、という話になります。ウェブサイトに限らず、何をやるにしても一番最初に決めるべきことは目的です。目的が決まらなければ何も始まりません。目的が決まって初めて効果が測定できるのです。iPhoneは発売から2ヶ月で日本では25万台売れたと言います。果たしてこれは成功でしょうか失敗でしょうか。もし仮に100万台売る目標だったのなら失敗でしょうし、10万台売る目標だったのなら成功と言えるでしょう。目的如何でするべきことは変わります。ターゲットがネット初心者かネットオタクか、定期的に情報を伝えるサイトか、一発のインパクトを与えるサイトか。目的によってはFlashの表現力が必要になる時もあります。真に機能するサイトかどうかはまず目的から判断するべきなのです。目的があった方が作る方も気が楽ですよね。

と、いうことで、ウェブサイトだけが大切じゃない、だけどウェブサイトは大切なんだ、だからがんばってウェブサイトを作るんだぜ、というお話でした。


※もちろんすべての販売ケースが先ほどの例に当てはまるとは限りません。ハンディカムが売れる現場は電気屋さんだけではありません。Web上で言えばAmazon、楽天や価格.comがその役割を担っています。現実の売り場とは勝手が違いますから別の施策を考える必要があるでしょう。またハンディカムは販売される範囲が非常に広い商品です。逆に売られる範囲の小さい、特定のウェブサイトでしか販売していない商品、となるとこれも違うアプローチが必要でしょう。

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Comment [2]
ひさし [2009.02.07 19:39]

ドラッカーが言うように、企業の一番の目的は利益を上げることではありません。顧客の信頼を得ることです。「やっぱSONYだな」と思わせることが、一番なのです。その信頼を得るために、企業は商品を売り利益を上げなければならないのです。少なくとも私はそう思います。その点では、今回のウェブは大成功と言えるのではないでしょうか。なーんて。

AKIRAFUKUOKA [2009.02.07 19:57]

>ひさしさん
そうですね、今回のサイトの目標設定はわかりませんが、少なくとも直接売り上げることではなく、まさに「やっぱSONY」と感じさせることがおそらく目標なのでしょうね。こういった広告はSONYは今までテレビCMを使ってやってきました。各所の反応を見るに「やっぱSONY」のメッセージはウェブでも見事に伝わっているようです。





 
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  • FICC inc.所属。Flashコンテンツ開発担当、でもデザインや企画まで手がけることも。
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